(書評)ねこ弁 弁護士・寧々と小雪の事件簿

著者:大門剛明



天才的な推理力を持っているものの、実務は全く駄目な妹・小雪。イケメンな容姿を持つが不器用な姉・寧々。弁護士姉妹が、奇妙な依頼に挑む連作短編集。
うーん……ええと……最初に元も子もない感想を書く。この作品って……主人公姉妹が弁護士である必要ってあったのだろうか? 一応、主人公の姉妹が、往診弁護(つまり、遠隔地に訪問し、法律的なアドバイスなどを行う、ということ)に向かい、その先で、ということにはなっている。けれども、本編とも言うべき作中の事件って、法律の知識とか、そういうのが全く関係ないのだ。ついでに言うと、猫も関係ない話がちらほら……
ひっくり返しとか、そういうのも含めて面白かったのは1編目。文字通りに「猫」が誘拐され、身代金の要求が……。容疑者はいるものの、しかし、容疑者の持っていた金は、あらかじめ用意していたそれと番号が違って……???
なぜ、犯人がそういうことをしたのか? とか、その辺りの動機はまるわかりだったのだけど、結構、緻密に作られた計画。アリバイトリック……というものは見応えがあった。
巨大スーパーで、指定されたものを最初に買ったものに遺産を譲る、という2編目『レジ待ちオリンピック』。巨大なスーパーの、数多くのレジの中で、誰が、一番、レジ打ちが速いのか? 客の数は? ある意味、日常でも考えることなのだけど、それを論理的(?)に考察するのは結構、滑稽でもあった。まぁ、お題が出た時点でオチは読めるのだけど。
住民の姿を模した案山子が行方不明になっている、という『案山子だけが知っている』。この話は、その案山子がどのくらいの出来なのだろう? と言うのが気になる。バスの中やら、なにやらにあり、思わず勘違いしてしまう。その村の様子がまず魅力。そして、そんな村と、犯人の、ある意味、その特殊な立場だからこその動機……。なるほど、と思わされた。
著者のほかの作品と比べると、かなり軽いノリだし、社会問題とか、そういうものもない。最初に書いたように、弁護士である必要性も薄い。なので、著者の作品、というよりも、表紙でわかるようなライトなノリの作品だ、というような感じで読んだほうが楽しめるのかな? と思う。

No.3959

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