(書評)廃駅の天使 廃線上のアリス2nd

著者:マサト真希



宮沢賢治の生誕地、岩手県花巻市。他人と深く交流せずに生きてきた少年・遠峰谷晴は、雪の廃駅に佇む一人の少女・春告久芙美と出会う。孤独を選び、決して笑みを見せようとしない彼女に、晴は惹かれていくのだが……
一応、『廃線上のアリス』の続編というか、スピンオフ的な意味づけを持つ一作。基本的には独立した話なので、前作を読んでいなくとも大丈夫だと思う。
なんか、凄く空気感がいい作品だな、とまず思う。
物語は冒頭に書いたように、主人公・晴が、芙美と出会うところから始まる。両親を喪い、姉と共に東京から、故郷の花巻へと戻ってきた晴。金銭的なものもあり、大学進学は諦め、ただバイトに勤しみ、周囲との距離を置いて暮らす日々。そして、そこで出会う芙美もまた周囲から距離を置く存在で……
明らかに周囲から距離を置く芙美。しかし、学校では見せない色々な面を、晴のバイト先などでは見せてくれる。学校とは明らかに違う芙美の姿。宮沢賢治にまつわる旧跡などを巡っては喜ぶ姿。学校で、周囲を寄せ付けない雰囲気とは正反対に、不慣れな雪道に苦戦し、まるでペンギンの歩みのような姿を見せるそんな彼女の姿は、晴を魅了していくが……。正直、この二人の関係って、凄く惹かれるのが良くわかる。ただ、そうやって仲が良くなっていく仲で、二人の周囲に起きる不可解な出来事……
晴の周辺に置かれる「釘」。それは、晴の父の死と切っても切れないもの……。一方で、芙美の周囲では、その芙美が恋人を自殺させてしまった、というメールが出回る。普段、周囲から距離を置いている彼女の秘密は何なのか? そして、その上で……。まぁ、前作(?)を知っていると、ある程度、わかるわけだけど……不穏な空気と彼女の魅力。両者が重なって、次が気になって仕方がなかった。
前作と多少、カラーが異なっている気がするけれども、個人的には本作の方が好きかな?

No.3961

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