(書評)オークブリッジ邸の笑わない貴婦人 新人メイドと秘密の写真

著者:太田紫織



「完璧なヴィクトリアンメイド募集」 派遣家政婦である愛川鈴佳に舞い込んだのは、老婦人の生涯の夢の手伝い。旭川近郊、19世紀英国を再現したお屋敷で、鈴佳は「アイリーン」としての生活をすることに。気難しい奥様、執事のユーリ、料理人のミセス・ウィリスタリア、農家のスミス夫人……様々な人々と触れ合う中……
うーん……結局、この作品で、アイリーンの主人たる奥様は一体、何がしたかったのだろうか? という疑問ばかりが残ってしまった。
21世紀の日本にあって、19世紀、ヴィクトリア朝時代の生活を再現しているオークブリッジ邸。ガスはかろうじてあるものの、電気はなく、携帯電話やインターネットは当然、使えない。洗濯や掃除をするにしても、現在のような便利な洗剤などはなく、手荒れなどと闘いながらやるしかない。さらに、階級社会であるイギリスを再現しているように、主人とメイドでは対等な立場でなく、主人は常に好きなときにメイドを呼び命令をする。勿論、主人はメイドの機嫌やら都合やらなど鑑みない……
まぁ、そういう環境ではあるけど、というか、そういう環境だからこそ、立場からの見方が出来、そして、その中で信頼感も芽生える。最初は、何で……とか思いつつも、アイリーンがおかれた立場の中で、少しずつ何をすべきか、奥様が何を考えているのかを想像し、先回りする……という辺りはなるほどな、と感じることが出来た。まぁ、3編目のアイリーンはどう考えても、滅茶苦茶そのものだけど。
……けど、そういう部分部分はいいのだけど、やっぱり奥様は何がしたいの? へと戻ってしまう。奥様は本気でやろうとしているのはわかるけど、でも、最後まで理由とかそういうのが明かされないので(最後に尋ねるシーンはあるが、はぐらかされる)、アイリーンを初めとして、よく付き合う気になれるな、という感じになってしまう。
なんか、イマイチ、乗り切れないままに終わった感じ。

No.3962

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  • 2016.03.17 (Thu) 21:40 | 刹那的虹色世界