(書評)さくらだもん! 警視庁窓際捜査班

著者:加藤実秋



警視庁=通称・桜田門に勤める久米川さくらは、ドジで、ちょっぴり腹黒な事務職員。雑用をこなしながら、定時上がりという日々を送るのだが、刑事である元加治が持ち込んだ、密室殺人の謎を解いてしまったことで、次々と事件が持ち込まれるようになって……
という連作短編集。全6編を収録。
うーん……形の上では、安楽椅子探偵ということになるのだけど、ミステリとしてはかなり強引かな? と思う部分多々。
例えば、さくらのところに依頼が来るようなったきっかけである1編目の密室殺人。引きこもりの青年が、密室で服毒死した、というのだけど……毒殺の場合、そもそも「密室殺人」なのかな? と感じたり。それはともかくとして、トリックは一応、筋が通っているように感じるのだけどよくよく考えると、犯人がそこまで確信できるの? と思えるし、また、確信したとして実行は相当に難しい気がする。
また、婚約発表のパーティーで新郎になるはずだった男性が毒殺された4編目。ピザの1切だけに毒が仕込まれており、誰がどれを口にするのかはわからない。もしかして、無差別殺人!? これも、新郎の性格から考えて……というトリックなのだけど、いくら普段がそうでも、(自分が主役の)パーティーでも同じ行動を取る、という確信が良く持てたな、というのが何よりも思ったことだったりする。
こんな感じで、ミステリとして考えるとちょっと……と思うところ多々。
とは言え、著者の作品の売りはむしろ、キャラクターの掛け合い。その辺りはいつも通りと言う印象。腹黒というか、毒舌というかなさくら。年齢不詳の秋津さんとか、課長の正丸さんとか、それぞれキャラクターは立っているし。そちらをメインに楽しむ作品なのだろう。
というか……やっぱり著者の作品を読んでいると、おじさんが頑張って若者文化を勉強して書いている、という感じがするところが別の意味で楽しい(笑) 三十路も後半に入りつつある私ですら、それは古いよ、と思うようなものを20代くらいの設定のキャラクターが普通に言ったりするからなぁ……(笑)

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