(書評)心配学 「本当の確率」となぜずれる?

著者:島崎敢



2015年11月、フランスのパリで大規模なテロ事件が起こり100人を超える死者が出た。この事件により、テロが起きるのではないか、テロに巻き込まれるのではないか? と心配になった人も多いのではなかろうか? しかし、極めて乱暴に考えると、100人の死者というのは、東京都で交通事故で24時間以内に死亡する人とほぼ同じ。テロで年間に死亡する人は実行犯を含めて3万人。対して、交通事故の死者数は130万人にも及ぶ。だが、交通事故の方が危険だと考える人はあまりいない。このように、本当の確率と、人間の認識にはズレが生じている。そのズレはなぜ起きるのか? そして、本当の確率と認識のズレがなるべく起きないようするためのコツについて解説した書。
まず、最初に、本書の本論と関係のないことなのだけど……著者が以前に住んでいた地域と自分で住んでいた地域が重なっていて笑った。吉野家が潰れたのって、BSE騒動もあるけど、あそこ、立地もイマイチだったせいだと思うよ……とか、どーでも良いことを何度も考えていた。っていうか、書籍が進むにつれて、だんだん酒とかの話が増えていくのは……(笑)
本書の前半は、まず、本当の確率と認識の上のズレがどのくらいあるのか? また、そのようなズレがどのように生み出されるのか? という点ついて。平均と分布の違い。メディアにおいて、危険である、という情報の方が目を引いてしまう。しかし、それが実態に沿っているかどうかはわからない。また、その上で、「ある」「ない」という二分論で語ってしまいがちなこと。そのようなことが綴られ、過大評価、過小評価というのがどういうデメリットをもたらすのか、というのを解説する。
私自身は、大学時代に社会心理学とか社会統計学を習ったことがあるので、ある程度はそこで習ったことのおさらい的なことがあるのだけど、様々な例を出しつつなので非常に分かりやすく、ここまででも入門書としてよいのではないかと思う。
そして、本書の最大の特徴は、そのようなことを前提とした上で、自分でこのようなリスクがどのくらいなのかの計算をしてみよう! という提案をしているところ。リスクの計算、などと言うと小難しく感じるかも知れない。確かに細かな単位とか、そういうものを理解する必要があったりはする。しかし、その辺りを少しクリアすれば決して計算そのものは難しいものではない。しかも、現在はインターネットなどを通じて各種の情報が手に入るので余計に。勿論、ネットの情報には虚実ある。しかし、それもある程度のコツで全くおかしな情報に振り回されるリスクは下がる。完璧な計算にはならないかもしれない。しかし、大雑把にでも自分で情報を吟味し、リスクを評価できるようにしよう、というのは面白い試みだと思う。
目新しい、とは言いがたいかもしれないが、非常にわかりやすく、そしてとっつきやすい形でまとめられた良書。

No.3978

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