著者:似鳥鶏


荷造りに付録組み、棚作りにポップ描き、そしてレジ。しかも、実はひっそりと力仕事も……。そんな本屋さんでは、奇妙な謎も次々と起こって……
そんな本屋さんを舞台とした連作短編集。全4編を収録。
なんか、読みながら大崎梢さんの「成風堂書店」シリーズに似ているなぁ、と思ったら……元々、大崎さんが「本屋」というテーマを出して作られたアンソロジー作品から広げたもの、とのこと。なるほどね、と。……しかし、そこからなぜにピータンの話を延々と続けるのか、著者よ!
……ということで、物語は、遠距離恋愛になる相手から渡されたのはジャンルもバラバラな本という1編目。気鋭の作家のサイン本が消失! しかし、容疑者には隠せる場所がないはず……という2編目。作家のサイン本に悪戯書きが。しかし、夜、不審者を見たのに、その後の映像にはない。ではいつ? という3編目。そして、の……4編目。
この中で好きなのは2編目、かな? 引越し作業を手伝った貰ったら、気鋭の作家のサイン本が消えていた。容疑者である書店員・池部だが、軽装で本を隠せそうなスペースはない。唯一、隠せるとすればいらない本をあげるときに使ったダンボール箱だが、そこには隙間なく本が詰められており、隠せそうにない。では、どこに?
1編目で、本、例えば、文庫本といっても出版社によって大きさに違いがあって……なんていうのが鍵になったのを受けて、今回もそれでは? というような予想が立ったり、はたまた、腐女子さんが「お尻に挟む!」なんて言い出したり……店員仲間が、それぞれがわいわいと予測を立てて行くのが一つの特徴。そして、その真相は……
結構、物理的なトリックなのだけど、普段、本というものを「買う側」として接している身としては、言われて見れば……なのだけど、思いつかないという盲点をついたもので面白かった。
そして、4編目。万引きが横行し、折角捕まえても店長は、面倒ごとを嫌って解放してしまう。そんな状況の中で起きた大事件……
万引き1つでどれだけの損害が発生するのか? 下がる売上。配本システム……そういうものはなかなか耳に痛い。謎という部分についてはあまり語れないのだけど……これ、店長のやる気のなさ、っていうのは救いようがない。その結果、明らかなに間違ったことをするわけだし。ただ……何と言うか……、そんな凄いアイデアとか、そういうものがなくても、それなりにやっていけていたものが……という状況、それが崩れている、というメッセージでもあるのかな? と感じた。
No.3979
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