(書評)ポンコツ探偵の名推理

著者:滝田務雄



大物政治家の脱税事件を追った結果、刑事の職を失った八房文次郎。そんな彼に声をかけたのは、刑事時代の部下で、現在は凄腕の女性探偵として名を馳せている鍋島。彼女は、自分の恋人であり、頭は悪いが腕はあるスリであった探偵・弾正の助手に八房をつけて……
というところからの連作短編集。
(形の上で)どちらが上で、どちらが下、という辺りは違っているのだけど、ノリとしては『田舎の刑事』シリーズに近いかな? と。基本的には依頼を受けて、そこに向かって……というのだけど、小学生レベルのことすら間違える弾正にツッコミを入れながらの会話。しかし、八房は八房で、貧乏とか、そういう事情があって結構、しょーもないことを実行したりする。その辺りのノリが、『田舎の刑事』の黒川と白石のやりとりに似ている。まぁ、黒川の奥さんみたいなラスボスはいないのだけど。
で、この本を読んでちょっと驚いたのは、1編目にいきなり八房が警察を追われたきっかけとなる政治家と邂逅。病に倒れ、自ら動くことすら出来ない、という彼が依頼したのは、自分の命を狙っている自分の秘書というか用心棒の監視。しかし、何かがおかしい……。トリックそのものは、かなり強引な感じがするのだけど、チグハグさの演出などは上手い。
で、2編目以降なのだけど……だんだんと謎解きがなぞなぞっぽくなっていくのは気のせいだろうか? 3編目の宝探しなんて、まさしくなぞなぞそのものだし……。4編目も事件こそ凄惨だけどトリックそのものは決して難しいものとは言いがたい。
ただ、2編目、3編目になってだんだんノリが理解できて笑えるようになっていった感じ。特に4編目の八房が就職した(?)会社のしょーもなさ、とか、そういうのは思わず笑ってしまった。そして、それがオチに繋がるところとか……
というわけで、謎解きとかよりも、キャラ同士の掛け合い、というのを中心に楽しむ作品じゃないかと思う。
で、書籍のまとめを見ると、今後、シリーズ化というのもあるのかな?

No.3990

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