(書評)トイプー警察犬 メグレ

著者:七尾与史



亡くなった名刑事が飼っていたトイプードルのメグレ。トイプードルでありながら、嘱託警察犬としても活躍する彼の特技は、現場に残された「殺意」を嗅ぎ分けること。そんなメグレのハンドラー・早乙女俊介は、次々と不審な事件に巻き込まれていって……
という連作短編集……なのかな? 一応、2編を収録。
うーん……。
とりあえず、物語として事件が発生し、問答無用で犯人が判明する。こういう設定の話だと、『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』(東川篤哉著)などが思いつくのだけど、正直なところ、それと比べてもキツいなぁ……という感じ。というのは、この作品、問答無用で犯人が判明した後、じゃあ、その上で、どうやって罪を認めさせるか、ってことになるんだけど……その辺りのカタルシスがあまりないのだ……
例えば1編目。老舗ホテルに店を構える有名シェフが殺害された。防犯設備などに痕跡が残っておらず、内部事情に詳しい者の犯行と思われる。その中で、メグレが犯人としてあげたのは……
いや……正直、「犯人はあなただ!」と指摘されて、「はい、その通りです」と認めるのは、現実的にはあるんじゃないかと思う。物証とかなくても、ある程度、良心の呵責とかそういうのがあるだろうから。でも……ミステリでそれを認めてしまったら、話が終わっちゃう。しかも、犯人が警備システムをかいくぐれた理由もかなり強引。ちょっと無理があると思う。
2編目。自殺したとされるヘビメタミュージシャンのファンで、トラブルメイカーだった男が自殺した。しかし、それは他殺ではないか、という疑惑が広がって……
こちらもなぁ……(苦笑) 作中で語られる心理学的な効果の有無についてはとりあえず横においておこう。けど、動機というか、計画的な割に計画が杜撰じゃないか? と思えてならない。しかも、最終的なところについては、これでは公判が維持できない形での自白強要だし……
Amazonレビューとか見ると、「動機が……」という意見があるのだけど、私は、動機については、無理があっても良いと思っている。しかし、そのほかの部分も強引に感じられ、ちょっと……という評価にならざるを得ない。

No.3995

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