(書評)樹液少女

著者:彩藤アザミ



15年前に失踪した妹を捜し、ビスクドール作家の住む山荘へと向かった青年・森本。遭難の末ながらも、何とかたどり着いたそこでは、作家・架神千夜と、その世話をする少女。そして、4人のコレクターが。森本は、その千夜に復讐を誓うのだが、忍び込んだその部屋で、千夜は既に冷たくなっていて……
著者のデビュー作『サナキの森』は、文章のクセとか、そういうのがイマイチあわなかった、ということもあって「読みづらい」と感じたのだけど、本作はそういう欠点は感じなかった。凄く読みやすくなった。
物語は、冒頭に書いたように、雪に閉ざされたビスクドール作家の山荘。そこにいるのは、部屋にこもったまま、殆ど顔を出さない作家。その世話をする二人の少女と、マネージャー的な男。4人のコレクター。その中で、主である千夜、そして、客と次々と何者かに殺害されていく……という本格ミステリ。
山荘の周辺では、過去、何件も少女が行方不明になる、という事件が発生している。また、千夜が少女を色々と引き取っている、という噂もある。妹も、その一人。では、その少女たちはどこへ行ったのか? 毎年、1体ずつ作られる「樹液少女」というドールは何なのか? そのドールに付けられたトランプコードというコードが意味するものは?
正直、ある程度の予測とかはつくし、トリックそのものもそれほど凝ったものとは言い難い。ただ、先に書いた要素などで上手く雰囲気を盛り上げているので、様々な要素を総合して独特の雰囲気を作り上げ、物語の中に上手く誘ってもらった。多少、終盤の状況がわかりづらいと感じたところあるものの、十分に楽しむことが出来た。まぁ、現実的なところで考えると、千夜が少女とかを集めて……云々って、行政的な部分とかで簡単にバレていると思うんだけど……それをいうのはヤボと言うものだろうし。
少なくとも、前作と比べれば遥に完成度の高い作品に仕上がっていると思う。

No.3996

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