(書評)図書館の殺人

著者:青崎有吾



試験期間中のざわついた雰囲気の風ヶ丘学園。試験勉強をしようと図書館へ向かった柚乃は、そこで事件捜査のアドバイザーとして捜査に加わっている裏染天馬と出会う。その図書館では、閉館後、大学生が撲殺されたという。現場には、「く」の字と、本の表紙イラストに「○」が付けられる、というダイイングメッセージが残されていた……
ということで、シリーズ第4作。
なんか、凄く読みやすかったな。勿論、シリーズのお約束として、様々なヒントから論理的に犯人は……という結末の持っていきかたをするのだけど、そこまでの過程が楽しかったからだと思う。
そもそもの問題として、閉館後、電子ロックがかけられている図書館に、部外者であるはずの大学生がどうやって侵入したのか? そして、彼はそこで何をしていたのか? さらに、同じ図書館には被害者とは別の血液も残されていた。その血液は誰のもの? 物語の前提となる謎が大量にあり、それを一つ一つ、明らかにしていく、という過程がしっかりとしていて、テンポよく読むことが出来た、というのは非常に大きいだろう。
そして、そんな表向きに明らかになっていく事実の中で、独自の推理を進める裏染は、明らかになる中で推理を固めていくが、やがて、それが破綻して……。明らかになっているのに、「犯人に該当する人間がいない」というのはなぜなのか? 最終章で、裏染が自らの推理の過程を語っていくのだけど、先までの話と同じように流れも面白かった。著者のデビュー作である『体育館の殺人』のように、仮定を示しては崩して……とはちょっと展開のさせ方は違うのだけど、でも、しっかりと論理的に解かれていく辺りは著者らしい。
その上で、裏染天馬の過去について、とか、はたまた、裏染をライバル視する存在の行動とか、キャラクター小説的な部分も。だんだんと、裏染天馬自身の事へと物語が推移していくのかな? というのを感じる部分もあったりする。

No.3999

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