(書評)廃皇子と獣姫の軍旗

著者:田代裕彦



「黒狐」と呼ばれ、恐れられているアルガント帝国の皇太子ウィルフレド。彼は、南方大陸で、獣の半身を持つ亜人との一戦を、その類稀なる戦術を持って制する。亜人たちの先鋒を務めた「獣姫」を捕縛した上で。しかし、凱旋帰国した彼を待っていたのは、「偽嫡」としての嫌疑。そして、その嫌疑により、国外追放、その中で暗殺されそうになり……
著者というと、デビュー作である『平井骸惚此中ニ有リ』シリーズを初めとして、謎解き要素を含んでいる印象なのだが、本作はそういうものが全く無い戦記ファンタジー。まぁ、ケモミミだ(違)
物語は、というか、この巻に関しては、文庫裏表紙の粗筋でほぼ作品の流れが網羅されている気がする。戦勝の英雄から一転。王室での王位継承権争いの中で、「偽嫡」として終われる身に。そして、殺されそうになったウィルフレドを救ったのは、先の戦いで捕虜にした後、解放した「獣姫」ことククル。そして、そのククルと共に、亜人の村へ。半信半疑ながらも村に置かれたウィルフレド。そんなとき、再びアルガント帝国が、亜人の村へと攻め込んできて……
まあ、正直なところ、ウィルフレドが名将過ぎる気がしないでもない(笑) アルガント帝国時代の将としての戦い方。そして、亜人の里での自分が生き延びるための駆け引き。基本的に、王になりたい、とか、そういう意欲はないけど、生き残る、ということには貪欲。そして、自分が気になったことには暴走しがち、という彼のキャラクターが何とも言えない味になっているのは確か。67頁のイラストとか、色々とヤバ過ぎる(笑) そして、そんな彼の戦略が敵の裏をかいていく後半の戦いは楽しい。
著者の作品=ミステリ、というのが私のイメージだったのだけど、こういう作品もなかなか良いじゃないか、と素直に思う。
まぁ、完全にこの巻はプロローグ。それだけに……ちゃんとシリーズとして続いて欲しいな……

No.4005

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