(書評)ラプラスの魔女

著者:東野圭吾



勤めていた警備会社をクビになった元警察官の武尾は、一人の女性の警護をするよう依頼される。「余計なことは聞かないで」 そう指示される武尾だったが、次第にその女性には不思議な力があるように思えてならない。一方、二つの温泉地で立て続けに起こった一酸化中毒死事故。検証に赴いた研究者である青江は、双方の地で同じ女性を見かける……
「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。そしたらこんな作品ができました。」と、Amazonの内容紹介で著者が語っているのだけど……正直、結構、過去の著者の作品のパーツをかき集めているような……。
色々な視点で物語が綴られるのだけど、一応、主人公は研究者である青江で良いのかな? 一酸化中毒死の検証で訪れた2つの、遠く離れた同じ女性・円華。偶然と言うには出来すぎているそれは人為的な事故なのか? しかし、屋内ならばともかく、屋外でそれをするのは事実上不可能。しかし……
不幸な事故なのか? それとも? しかも、調べるうちに被害者となった人々に繋がりがあることも判明する。しかし、それをどう実行するのか? 印象としては限りなく人為的なものだけど、実行する術が思いつかない。この辺りの流れはガリレオシリーズを彷彿とさせる。そういった謎、リーダビリティの高さで、450頁の分量を一気読みさせる辺りは流石だと思う。
けれども……その女性・円華がどういう存在なのか? というのがわかったあとは、正直、パワーダウン感。別にファンタジー要素とかがあってもそれ自体は構わない。けれども、その能力が万能すぎると「うーん……」となってしまう。最初は、「この辺りは出来るけど、こっちは出来ない」と言っていたことが、いつの間にか出来るようになっていた、というのはさらに能力が伸びた、ということになるんだろうけど……そうなったら最早、何でもアリやん、ってことになってしまうだけに……
いや、決してつまらないわけではない。ただ、中盤までの、どういう風に? というところから、ただ何でもアリな感じになってしまったことによる「うーん……」感はどうしても残る。

No.4010

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