(書評)業物語

著者:西尾維新



今から600年ほど前、今は滅びた国に「うつくし姫」と呼ばれる少女がいた。彼女を見た誰もが、彼女の心の美しさに心を奪われ、そして、その命を捧げた。結果、彼女が歩く道は死体の山となって……(『あせろらボナペティ』)
など、3編を収録(一応、冒頭の掌編を含めれば4編)
250頁あまりの書の半分ほどを埋めるのは、冒頭に書いた物語。簡単に言えば、忍野忍こと、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが誕生するまでの物語。
物語の語り部としては、新キャラであるスーサイドマスター。自分で殺した相手しか食べない、というこだわりを持ち、故に餓死を繰り返している吸血鬼。なぜ、そのような状況に陥ったのか、というと「うつくし姫」がやってきたことにより、近隣の人々が皆、死んでしまったため。そんな状況から「うつくし姫」に興味を持ったスーサイドマスターは、彼女を食べることを決意し……
こういうと何だけど、結構、丁寧にスーサイドマスターの心情が描かれている。うくつし姫を食べよう、そんなところから始まる物語だけど、何しろ害意を抱くと自殺してしまう。復活はするものの、このままでは食べられない。なので、その美しさを何とかしなければ、という「教育」をすることに。そんなスーサイドマスターに呆れる眷族のトロピカレスク。そして……。まぁ、ベタっちゃあベタなんだけど、丁寧な描写が良くて楽しめた。……で、最後に明かされる仕掛けは、今後への伏線なのかな?
2編目『かれんオウガ』は、空手道場の師匠の勧めで、火憐が山へと行く話。険しい山地で、次々にピンチに陥る火憐だったけど、そのたび、金髪の幼女に助けられて……。
話としてはシンプルで、ストレートに楽しめる話なのだけど、とりあえず感想としては一言。もうちょっと疑問を挟もうよ、火憐ちゃん! 幼女の、てきとーに作りました、な、設定に素直に反応しすぎ(笑)
3編目『つばさスリーピング』。忍野メメを捜す羽川翼は、ドイツで対吸血鬼の専門家ドラマツルギーと再会する。そして、メメの居所を教わるため、彼が行おうとしている吸血鬼退治を手伝う……というのを、後にメメと翼の会話として描く。
こちらは、話としては最後、ちょっと「あれ?」という感じなのだけどむしろ、この話の注目点はその後のように思える。
とにかく、今回は「吸血鬼」だらけの1冊。そして、この辺りが、このオフシーズンの本題になるのかな? と言う感じがする。

No.4013

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