(書評)金魚姫

著者:荻原浩



何とか滑り込んだ仏具販売会社。ブラックな日々の中で、恋人にも捨てられ、鬱々とした日々を送る潤。そんなある日、気まぐれに祭へと立ち寄る。金魚すくいで目に留まった琉金を持ち帰り、古書店で手にした『金魚傳』という本で飼育方法を探っていると、ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた……
うーん……こういう風に書くと、色々と怒られそうな気がするけど……
結構、話の流れはラノベのテンプレ的なところがある。
色々と問題を抱えた主人公がふと手に取ったら、記憶の無い女の子がついてきた。そして、その結果、主人公は特殊能力を手に入れるが、変わりに彼女の世話をすることになって……
こういう話って、ラノベでよくあるでしょ?(笑)
ただ、味付けとか、そういうのが凄く綺麗で癒される。仏具のセールスに行くけど、そもそも需要が無いし、なれない仕事とあって全く実績が挙げられない。しかし、美女ことリュウが見られるようになり、同時に幽霊も見えるように。そして、それを活かす形で売上は上昇。一方で、記憶を失ったリュウの世話をしている内に彼女に惹かれていく……
この辺りのリュウの描写が凄く魅力的。金魚と人間の姿を交互に繰り返し、人間の姿を続けていると息苦しくなり、金魚に戻らざるを得ない。そのためか、えびせんが好きで、それを求めて無茶なことも言う。でも、それがなんか可愛いし、時々、本人も意識しないで漏らす過去などが気になる。著者らしい、明るい描写と、でも、存在するヘビーそのものな一瞬。そういうのが緩急織り交ぜて描かれているため、ハードカバーで400頁近いという結構な分量があるにもかかわらず、一気に読み進めることが出来た。
リュウの記憶が戻ったときの残酷さ。せつなさ。そして、その後の日々。後日談。寂しく感じるところも歩けど、でも、コレでよかったとも感じられる。凄くいい読後感。
これまでに読んだ著者の作品でもトップクラスに好きな一冊。

No.4014

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