(書評)現代詩人探偵

著者:紅玉いづき



SNSのコミュニティ『現代詩人卵の会』。将来的に詩を書いて生きていきたい人々が集まるそのコミュニティのオフ会がある地方都市で行われた。そこに参加した9人の面々は、「10年後に再会しよう」と約束し、その会を終えた。しかし、10年後、再び集ったのは5人。そして、残りの4人は不審な最後を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか? 詩を書く意味に迷っていた僕は、死んだ彼らについて調べ始めて……
ミステリー作品、なのかな? これは。
冒頭の粗筋の通りに、主人公である「僕」は、死んだ4人について調べ始める。攻撃的な詩を発表し、やがて、農薬を飲んで死んでしまった者。妻子を捨てるような恰好で死んだ者。楽しい詩を作りながら、服薬し飛び降りた者。精力的に活動しながらも帰宅途中に事故にあった者。そんな死を遂げた者について、残された人々から話を聞く。
ある者は、残された情報を積極的に開示してくれ、仲間であったことに感謝をしてくれる。ある者は、その死に傷つき、それを穿り返そうとする主人公へ拒絶の言葉を投げかける。そしてある者は……。全てが開示されるわけではないし、断片的である。しかし、そんな中で、死を遂げた者たちが、どういう思いを抱えていたのか? そして、それが創作の原動力になっていたのか? そういうものが何と無く垣間見える。それこそが、本作の描きたいテーマなのかな? と……
まぁ、確かに刑法犯罪も起こっているし、各エピソードの中の仕掛けとか、作品全体の仕掛けも存在はしている。ただ、その刑法犯罪については、論理的な推理の結果、というよりも「こうに違いない」と確信した、程度のもの。また、作品全体の仕掛けにしても、サプライズというよりも、先に書いたテーマをより深めるためという感じがするし。
形としてはミステリだけど、あくまでも形だけ。それよりも、創作の苦しみ。創作をすることとは何か? そんなことを描いた作品であると思う。

No.4015

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COMMENT 2

苗坊  2016, 07. 16 [Sat] 21:21

こんばんは。
確かにミステリというのは形だけでドキュメントのようでした。
ミステリというジャンルになっているから亡くなった人たちは実は殺されたのかとか色々考えたのですがそういう感じではなかったですね^^;
詩はあまり読んだことがありませんが生みの苦しみって本当に辛いんだろうなと思いました…。

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たこやき  2016, 07. 18 [Mon] 10:41

>苗坊さんへ

確か、あとがきで、自分に書けるのは何か、と考えて、こういう形になったとありましたけど、きっと「詩」と「小説」の違いこそあれ、創作の苦しみというのは著者自身が味わっているのかな? と感じます。

それにしても、「詩」というと、暗い雰囲気が付きまといますが。

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