(書評)今からあなたを脅迫します

著者:藤石波矢



「今から君を脅迫する」 きっかけは一本の動画だった。「脅迫屋」を名乗る覆面男は、元カレを人質に取り、命が惜しければ身代金を払えという。……って、私、ナオコじゃないし、恋人だっていたことないんですけど!? そんな事件をきっかけに、澪は、その「脅迫屋」こと、千川との因縁が出来てしまって……
一応、形としては連作短編という形になる……のかな?
冒頭に書いた、なぜか勘違いの形で、澪が千川に脅迫される、という事件。金は払う、と言い出す澪だが、本来、脅迫された側であるナオコは、他殺体で殺害される。そして、その事件の真相は……。そして、その後、千川に脅迫されて手伝うことになったり、はたまた、目の問題を解決するのに呼び出したり……という関係に……
相手を脅迫する「脅迫屋」。勿論、そのためには、本当に持っている相手の弱みを握る、ということもあるけど、時に、相手をはめたりして、弱みを捏造したり……ということをしようとする千川。しかし、千川に脅迫されたりしながらも、断固としてそれは拒否して動く澪。その辺りの中で、千川に逆らうことすら、千川の掌の上だったり……なんていうひっくり返しがある辺りはなかなか楽しかった。
正直、「正しいことをしようとする」といいながら、法律を遵守するわけでもなく、一時の感情で、という部分がある澪の正義って一面的な感じがするのは否めない。ただ、ある意味、これって「普通の感覚」なんじゃないか、という気もする。まぁ、そうやって千川にもてあそばれても反省しないあたりはどーなんだ、って部分はあるが。
そして、最終的には、そんな澪の出自も含めた事件。千川が、どういう存在なのか? というのも含めて……
ここがちょっと……。話の規模はでかいんだけど、登場人物が全体的に小物っぽくて小手先の話に感じられてしまうんだよな。
嫌いではない。でも、この軽妙さなら、もっとこじんまりとした話の方が作品のテイストにあっていたんじゃないか? と思えてならない。

No.4026

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