(書評)天久鷹央の推理カルテ4 悲恋のシンドローム

著者:知念実希人



天医会総合病院統括診断部。そこは、は、各科で「診断困難」とされた患者が回されてくる部門。そんな統括診断部に舞い込んだのは、死んだ恋人の呪いが掛かっており、恋人が出来ると体調を崩してしまう、という患者……(『迷い込んだ呪い』)
など、全3編を収録。
なんか、安定感という意味ではあるんだけど、今回のエピソードは、病気などの医学的な部分は薄味だったように思う。
冒頭に書いた1編目。なぜ、恋人が出来ると体調を崩してしまうのか、という部分には確かに医学的な知識が必要とされる。でも、物語の大半は、そんな依頼人にお祓いをする、という霊能力者の話であり、コールドリーディングとか、そういうところが強調されることに。鷹央と小鳥遊の掛け合いとか、安定しているのだけどちょっと弱いかな? と。
さらに、ゴミ屋敷の主に、注意に向かった青年が行方不明になった。主に殺されたのではないか? と依頼がはいる2編目の『ゴミに眠る宝』。はっきりいって、これ、完全に医学の話、無関係。途中で出てくる警察官の桜井が言うように、そもそも、事件が起きているということすら極めて怪しいのに、そこに出て行って……という展開の強引さのようなものが気になってしまった。
そして、3編目。表題作的な意味を持つ『瞬間移動した女』。これも、医学的な部分はそれほど深くない、かな? ただ、それを割り切って、タイトルの通り「瞬間移動した女の謎」という本格ミステリ的謎解きは興味深い。
事件が起きたのは、深夜0時ごろのアパート。激しく何かがたたきつけられる音を周囲の住民が聞いている。しかし、死体は海で発見された。アパートの出入り口には防犯カメラがあり、死体の入った荷物を持った人物はいない。そして、死因は出血死……
確かに、被害者の死因に医学的知識は必要。でも、それがなくともある程度は謎解きは可能。そして、その試行錯誤が面白かった。
この作品に何を求めるのか、で評価が変わりそう。医学的なところでは物足りなさを覚えたが、最後のエピソードの謎解きは大満足。それが私の評価。

No.4027

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  • 2016.05.20 (Fri) 20:58 | 刹那的虹色世界