(書評)トリックスターズM

著者:久住四季



城翠祭初日打上と銘打たれた酒宴。その結果の惨状……。そんな状況で、周が見たのは、未来の出来事を予見する未来視。それも、過去、外れたことがなく、周囲を不幸にした他者の意識に乗り移ってのもの。酒宴にいたゼミ仲間のうちの誰かが、仮面をつけた男に襲われる。周は、事件を防ぐべく動き出すのだが……
ということで、シリーズ第4作。
城翠大ミステリ研の出し物であるマスカレイド。それは、コスプレをし、ミス研が出した謎解きに回答する、というイベント。周ら、ミス研の面々もそこに参加することに。そんなところに現れたのは、扇谷いみなの兄。かつて、ミス研にて「名探偵」と呼ばれ、現在は魔学の研究のため、イギリスの大学院へ留学中。そして、周のゼミ仲間である氷魚の憧れの男性。だが、周の夢に現れた犯人の男……
正直なところ、このシリーズって、シリーズを重ねるごとに仕掛けがシンプルになっている気がする。勿論、これまでの作品で、必ず、そういう仕掛けを用意していたからこそ、っていうのもあるんだとは思うけど……
とにかく、今回は、先に書いたような粗筋で、「被害者は誰か?」というところをメインにした物語。ただし、その中でキャラクター同士の掘り下げであるとか、はたまた、ここまでのシリーズでも出た「探偵」とは何か? というような部分を強調したように感じる。
「行動力、発想力……そういうものは前提。その上で、事件に出会う才能が必要」
ある意味、ミステリ小説の名探偵が「死神」と言われるのと紙一重なのだけど、優れた能力があってもそれを活かす場があるかどうか、っていうのは大きいのは確か。そして、今回の敵役たるいみなの兄が目の当たりにしてしまった真実。その上での態度……。その辺りは、読ませる。というか、先日読んだ『名探偵に薔薇を』(城平京著)とテーマとしては似ている気がする……
あとがきで、「主人公にとってのターニングポイント」と著者は言っているのだけど、確かにそんな感じがする。
今回はサプライズというよりも、キャラクターの掘り下げ、及び、探偵論というようなテーマ性で描かれたように感じる一冊だった、というのが私の感想。

No.4028

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村



スポンサーサイト

COMMENT 0