(書評)幽歴探偵アカイバラ

著者:明利英司



「なぜ、どんなふうに死んだの?」 幼い頃から幽霊が見える赤茨耕一は、幽霊達の死に様に強い関心を抱いていた。彼は自らを「幽歴探偵」と名乗り、彼らの死に様を探っていく……
と、連作短編の形で描かれる作品。
こういうと何だけど、結構、主人公・耕一って悪趣味だな、と感じる。
冒頭に、粗筋っぽいものは書いたのだけど、耕一が行うのは、あくまでも、その幽霊の「死に様」を探ること、のみ。例えば、その死因を探ることによって、成仏させるとか、そういうことをするわけではない。むしろ、それを悪用して、自分に有利なように利用したりする。また、そんな来歴を、同居人であるユウコに伝えるのを日課としている……
例えば1編目。耕一が勤めるようになったコンビニ。そこでは、深夜のある時間になるとドアが異様な動きをする。そして、それは幽霊によるもので……。まぁ、結構、無理がある部分はあるんだけど、むしろ、その死の真相を知って以降の行動こそが、という感じ。さらに2編目、廃病院で起きた大量殺人の真相。真相に至る部分までの流れも嫌な感じなのだけど、その上での耕一の処理が何とも……ただ、絶望に陥れているだけもの……。その嫌な感じこそが、この作品の味なのだろう、と感じる。
とは言え、嫌な味の話ばかり、でもない。例えば、4編目なんかは、耕一が、その力を使って残った人間の憂いをとく話で、それまでと違い、凄く爽やかな読後感だし。また、5編目は、謎解きと言うよりも、その世界観の不可思議さ、というのを強調することで雰囲気作りに上手く寄与している、という風に思う。
と、そんな感じで進んで、全てが繋がる7編目……
正直なところ、作中のメインとなるある人物の秘密は、早い段階で予想できてしまった。そのため、最後に繋がってのサプライズが薄い、というのは勿体無い。ただ、その辺りの伏線がしっかりと活きている辺りは上手いといえるのだろう。そういう意味では、丁寧な描き方と評価できるのかもしれない。

No.4030

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