(書評)K2 池袋署刑事課 神崎・黒木

著者:横関大



生真面目な刑事である神崎。チャラチャラした印象を与える刑事・黒木。警視庁池袋署の刑事課に所属する同期の二人の前に事件は次々と起こって……
と、二人の刑事が活躍する連作短編集。読み終わって、他の方の感想を見ていて気付いたのだけど、本作に登場する2人は『チェインギャングは忘れない』に登場していたらしい。すっかり記憶から消えていた(苦笑)
Amazonとかの紹介文では、黒木を「直感型」と書いているけど、あまり直感型という感じはしない。どちらかと言うと、生真面目な神崎とコンビを組み、思わぬ形で神崎すらをも黒木が翻弄して真相に至らせる、という感じが強いかな?
2編目『失態』。池袋で男性が柔道の投げ技を仕掛けられた、という事件が発生。現場には、池袋署の警察官の携帯が残され、当人は深酒の結果、記憶を喪っている状態で発見。そして、動画サイトには事件の様子を録画した映像と、犯人は警官らしいというメッセージが……
正直なところ、かなり偶然に頼った、と感じる部分はある。ただ、警察官による不祥事か? そして、本当に犯人と目された警察官は本当に記憶を喪っているのか? そんなところからのひっくり返しが面白かった。
黒木のキャラクターが良くわかるのは4編目『力走』。学生時代、陸上競技を続けてきた富田は、何となくで警察官を目指すが、しかし、イジメなどもあり、早くも辞職を考えていた。そんなところで接近してきたのは黒木。せめて、その嫌がらせをした相手を探そう、というのだが……。ある意味、『教場』(長岡弘樹著)みたいなジメジメさを感じさせつつ、しかし、全ての構図をひっくり返して、自分のポイントに、という構図に塗り替える鮮やかさが見事。
そして、カラーとしてはそれに近いのだけど、神崎というキャラクターが活きるのが『祝儀』。婚約をした神崎。そんな神崎を振り回し、黒木は婚約者ではない女性をナンパしてくるのだが……。ここでも、黒木の策謀というのが大きいのだけど、婚約者が居るのに……神崎の人間性。そして、黒木の性格を知り尽くして……。両者のキャラクターが活きた一編。
そして、最後に黒木自身が不祥事を起こして、の『決別』。それまでのエピソードの伏線を使いつつ、黒木の過去とも関わる。それまでのチャラチャラしたそれの裏側に隠された思い……。自分の感想でもそうなのだけど、どうしても黒木の話に目が行ってしまう。そういうのを全て鑑みて、この作品は「神崎・黒木」となっているけど、黒木の物語なんだろうな、と思う。

No.4033

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