(書評)二度めの夏、二度と会えない君

著者:赤城大空



突如転入してきた森山燐は不治の病を患っていた。俺は、彼女とともにライブを演り、最高の時間を過ごし、そして……燐は死んだ。俺に残されたのは、取り返しのつかない後悔。伝えてはいけない言葉を伝えてしまったこと。それさえ伝えなければ、燐は最期まで笑顔でいてくれたはずなのに……。二度目の夏。タイムリープ。俺は、彼女ともう一度出会った……
感想を読んでいたら、思ったとおり、皆が言っていたんだけど……やっぱり、こう言わせて貰おう。
これ、本当に、『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』の作者が書いた話なのか!?
下ネタとか、全く出てこないよ、この話(笑)
まぁ、序盤に出てくるのでネタバレしちゃうけど、主人公・智の後悔は、燐の最期に「好きだ」と想いを伝えてしまったこと。幼い頃から病と戦い、学校に行ったことのなかった燐。僅か半年とは言え、学校に通い、学園祭でライブをし、やりたいことをした、という満足感を持って死ぬはずだった。それなのに……
タイムリープをし、再び出会った燐。バンドを組み、仲間を集め、バンド禁止の学校でバンドを認めさせる。同じ流れを辿りつつ、思うのは、その告白をしないという決意。しかし、一度目のときは、ただパワーだらけで、一直線とだけ思っていた燐の行動の裏にあったであろう思いを考えるとより、燐への想いが募ってしまう。そして……
よく「あの瞬間をもう一度やれるなら……」という例え話がある。そのとき、「あそこで失敗したから……」というのはある。勿論、テストの内容を覚えていて、もう1回とからただ「良くなる」だけなんだろうけど、そうでない場合は……。結果を知っているからこそ、その時には思っていなかった思いに苦しんでしまうこともある。そんな「IF」話の側面。そして、結末が分かっているからこそのせつなさ……。そんな物語に仕上がっている。
こういうと何だけど、何をしても結末は変えられない。その中で、何をすべきなのか? どうすべきなのか? 切ないのだけど、読み終わって爽やかさも残る。凄く良い読後感の一冊。

No.4038

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村


スポンサーサイト

COMMENT 0