(書評)復讐ゲーム リアル人間将棋

著者:青葉優一



将棋部に所属する南は、親友である後藤と互いの彼女を交えてのWデートを重ねるなど、明るい高校生活を送っていた。クラスメイトである箕輪が凄惨なイジメにあったにもかかわらず、学校の都合で被害者である箕輪が不登校になっている、ということを忘れるように……。そんな中、文化祭前日、泊り込みでの準備の日、恐るべき復讐劇が幕を開ける……
あとがきで著者自身が触れているように、「将棋」という題材は同じながらも、『王手桂香取り!』とは対照的な話。
まぁ、冒頭に書かれていたように、学校そのものではいろいろと問題を抱えているけど、それがなかったような生活を送っている南たちの学校。そこで起きたのは、そのイジメの被害者・箕輪による服襲撃。それは、南と後藤によるリアル人間将棋。実際の人間が駒となって将棋を行う。そして、その駒が取られる=その駒役の人間は殺される、というもの。さらに、南と後藤、負けた側のプレイヤーも殺される。そして、その駒の中には、南と後藤の恋人も……
実際の人間が駒になり、そこで命がけの……。このあたりは、『ダークゾーン』(貴志祐介著)という前例がある。『ダーク・ゾーン』の場合、そもそものルールがわからない中で、いきなり放り込まれた中でどういうルールなのか? そして、なぜに? という謎で引っ張る。対して、本作の場合は、そういうところは明らかな中で、という違いはある。
正直なところ、それと比較してしまうため、どうしても……というのを感じた。というのは、キャラクターが極端すぎる気がする。前半、ひたすらに南、後藤と彼女たちの関係という平和な描写が続くのだけど、イマイチ、そこから後藤が……への伏線などがなく、いきなり実は……的な部分が目立つ。また、南が友人の一人を犠牲に、というあたりについては「恋人を守りたい」はともかく、いきなり先生は守るけど……的なところで「うーん……」と感じてしまう。そこまで割り切れるだろうか? そのあたりで、どうにもチグハグ感を感じてしまったのだ。
最後に、この復讐ゲームの仕掛け人についても無理を感じる。ネットで探して、ってあーた……。完全にファンタジーまでいけばよいのだけど、中途半端に現実的にした結果、いろいろと中途半端になってしまったような気がしてならない。

No.4042

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