(書評)ブラッド・アンド・チョコレート

著者:菅原和也



日々をだらだらと過ごすフリーターのぼく。そんなぼくに、自称・ジャーナリストのダイ兄ちゃんは、『知性の窓』なる信仰宗教団体の取材に協力して欲しいと依頼する。なぜ、ぼくに協力を依頼したのか? それは、代表の娘であり、「生きた奇跡」と祭り上げられるのが、幼馴染の少女・未来だったから。何とか教団の研究所への潜入に成功し、未来とも再会した僕だったが、その夜、代表が首を切断されて殺害される……
著者の作品を読むのはデビュー作である『さぁ、地獄へ堕ちよう』以来。その時の感想は、「イカれてる」ってなものだったのだけど、本作は読んでいると、かなり素直なミステリと見せかけて……という味付けが面白かった。
物語は冒頭に書いたように、フリーターの「ぼく」が宗教施設へ潜入するところから。超能力を研究するそこでは、数々の研究が行われている。そして、ぼくもまた超能力者として潜入するものの、アッサリとそれはバレてしまう。しかし、未来の計らいで何とか滞在は許可。そんな未来は、その超能力を冷笑、否定していた。そんなとき……
代表と未来しか入る権限のない代表の私室で……。このままでは、教団は存続の危機に陥ってしまう。そんな中、ぼくは1日の猶予をもらい、その間に犯人を見つけられなければ、自分が犯人として自首する、として……。施設にいる面々に話を聞くぼく。そこで彼らが語るのは、それぞれの事情。そして、その中で誰が犯人か、という推理、というか、予想。そして、その中でぼくが下した判断は……
人間関係のいざこざ。その中での思惑の交錯。この辺りは、お約束と言えるところなのだけど、そこからの「ぼく」の推理から始まっての展開は独特。ミスディレクション、単純なトリックだからこそ騙される。そんな言葉がしっかりと生きる真相。その上での、さらなる「ぼく」の判断……
オーソドックスな本格ミステリとしての味わい。そこから急展開で描かれる青春モノとしての味わい。両者がしっかりと両輪となっていて面白かった。

No.4054

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