(書評)星宿る虫

著者:嶺里俊介



長野県の宗教団体施設で火災が発生。そして、その施設からは奇妙な遺体が多数発見された。それは、本来の年齢とはかけ離れたほどに老化した遺体であった。同じ頃、静岡県の山中で発見された老婆の遺体は、光を放つ虫の大群に覆われ、流れ出す血液は赤血球を失い、黄色く変色していた。急激に老化して死んだ妹について、大学生の悟は調査を開始する。一方、悟の伯母であり、法医昆虫学者の御堂玲子もまた、警察からの依頼で、遺体についた虫について調べ始める……
第19回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。
どうしても法医昆虫学者というと川瀬七緒氏の「赤堀涼子シリーズ」を思い浮かべてしまう。まぁ、こちらも様子を想像するとかなりグロい。っていうか、単純なグロさだけならこちらの方が上じゃないかと思う。
物語は、冒頭に書いたように宗教施設で奇妙な遺体が多数発見されたところから開始。実年齢よりもはるかに老化し、しかも、死体の血液からは赤血球が消えている。そして、その死体には光を放つ謎の虫が大量に発生し、それを食べている……。これだけでもグロいでしょ? そして悟は、その病(?)で老化した妹を妹として認識できなかった罪悪感から、玲子は職務として、その事件に挑む、と……
正直なところ、序盤は、悟、玲子辺りのつながりとかが良くわからず、自体もバラバラに出てきて「?」と言うのがあったのだけど、色々な情報が出揃い始めた頃から一気にヒートアップ。そもそも、その虫は何なのか? 老化の原因は? さらに、その病(?)の感染ルートは? あらゆるものが謎として現れてどんどん引き込まれる。しかも、その中で発見される事実がよりグロかったりとか、ひきつけ方の上手さというのも実感できた。その辺りは素晴らしい。先に書いた赤堀シリーズとは違い、こちらはファンタジーの世界へと向かうのだけど、これはこれで良いと言えるだろう。
ただ……最終的な落としどころが、という感じはある。病(?)が何なのか? と言ったものは判明する。ただ、じゃあ、なぜそれが発生したのか? それも、宗教施設で、とか、そういうのはイマイチ曖昧なまま。また、その病(?)になっても進行しない状況があるが、おぞましい……そこまではいい。でも、その条件とかが微妙に曖昧で、どこからどこまでが? と感じられてしまった。
風呂敷の広げ方が良かっただけに、もうちょっと綺麗に畳まれていれば……とどうしても思う。

No.4056

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