(書評)ヴィヴィアンの読書会

著者:七尾与史



「皆さんの生命にタイムリミットを設けさせていただきました」 人気作家・ヴィヴィアンすみれが死んで1年。故人を偲ぶため、その館で行われる読書会に染谷公太郎ら、熱心なファンたちが招待された。ところが、ついて早々、出された紅茶に遅効性の毒が混ぜられ、解毒剤が欲しければヴィヴィアンすみれを殺した犯人を突き詰めよ、と告げられて……
うーん……なかなかトリッキーな作品だな。
作中でも何度も出てくるんだけど、「ヴィヴィアンすみれは殺された。犯人は誰かつきとめよ!」という形で始まる話なのだけど、そもそも、ヴィヴィアンすみれは殺されたの? という問題がある。ヴィヴィアンは、週に何度も人工透析を受けねばならないほどの腎疾患を患っており、その最後は、トイレに入っている間に、トイレのドアの前にあった彫像が倒れ、閉じ込められたこと。しかし、それだけで殺人と断言することは出来ず、事実、警察は不幸な事故死として処理した。常識的に考えて、その通りだと思うのに、「故人が言っていたから」とゲームを強行する進行役。そして……
実は集められた面々が、ヴィヴィアンに対して憎しみを抱いている存在として判明。そして、その憎しみのために、何か行動をしていたりもする。そのように、参加者の一人ひとりの素性が明かされていく……
となるとある人物について語られないのは不自然。だから……という形での絞込みが出来てしまう。しかも、解毒剤を手にするためには、論理的にその人物が犯人であると証明せよ! と言っていたはずなのに、一種、未必の故意によってこの人が犯人である可能性がある、くらいのところで終わってしまっているのが何とも……。これ、犯人として名乗り出た人物のしたことによってじゃなく、彫像が倒れたから、って可能性はかなりあるんだよね。多少、この催しの真意を明らかにすることで、その違和感を軽減することが出来ているのは間違いないけど、当初の設定と違った形ってのはプラスにはなるまい。
書店サイトなどの評価は芳しくないけど、確かに微妙。

No.4058

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  • 2016.06.18 (Sat) 09:44 | 刹那的虹色世界