(書評)午後二時の証言者たち

著者:天野節子



3月5日水曜日、午後2時ごろ、所沢の交差点で一人の少女が自動車に撥ねられ、死亡した。それから8ヶ月後、所沢市の病院に勤める医師が何者かに殺害される。さらに12月。都内のホテルで一人の青年が不審な死を遂げた……
うー……むー……
著者の作品を読むのは5年ぶり。物語は、各章「○○(人名)の××」という章を積み重ねることでつむがれる。ただ、このようなタイトルになっていても、その人物の一人称そのもの、というわけでなく、その人物の一人称の話と、その周辺の人物の一人称視点の話が入る形で構成されている。
冒頭でネタバレしたから書くけど、第1章のタイトルになっている医師・室井。彼は、被害女児が事故にあった現場から最寄の病院の外科部長。しかし、事故のあった水曜は、そのシステムもあって不倫相手の密会の日にしていた。そもそも、その日は、偶然、手術を出来るスタッフはいたものの、普段はいない日。それもあって救急車の搬送を断らせていた。そんな中、彼の「恋人」である真理子は、自らの勤めるエステサロンに奇妙な女性が出入りしていることに気付く。
一方、第2章の主人公・光永は、大手スーパーの社長の次男であり、しかし、数々のスキャンダルを起こしている問題児。そして、事故も、そのときに起こしてしまった。結果、親から勘当扱いになるものの、金蔓となる女と出会うのだが……
読者視点で、最初の2章でどちらも殺人であることは明白。そして、犯人は女であることも。
その時点である程度、容疑者は絞れる。そして、その上でなぜ、事故からこれだけの経過して事件を起こしたのか? 本当に、事故と関係があるのか? という点が謎となる。そして、本当に、事故と関係があるのか? も……。そして、その真相……
結構、俗っぽいというか、いかにも2時間ドラマに出てきそうなキャラクターとかもいるものの、そういうキャラクターも丁寧に心情を描いている。特に証言者の心情とかは凄くわかる気がする。その一方で犯人については……正直、分かるような分からないような……。何とも言えない、という感じの読後感のままに読み終わった。

No.4063

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