(書評)土漠の花

著者:月村了衛



ソマリアの国境付近、墜落したヘリの捜索救助に向かった陸上自衛隊第一空艇団の精鋭たち。そんな彼らの元に救助を求める女性が。氏族間の争いに巻き込まれたその女性・アスキラの保護をしたその夜、彼女を追う部族が空艇団を襲撃。多くの仲間を失った空艇団の決死の撤退戦が幕を開ける……
著者の作品は『機龍警察』シリーズを中心に読んでいるのだけど、ある種の一幕劇。『機忍兵 零牙』、『一刀流無想剣 斬』などと同じく、突発的なシチュエーションが発生し、立て続けに起こる事件の中でそれぞれのキャラクターを掘り下げる、というパターンを踏襲している。
と言えば、わかるように、物語は戦闘に次ぐ戦闘。アスキラを追い、陸上自衛隊の空艇団を追う民兵組織ワーズデーン。そもそもの戦力が劣る上に、通信手段もない、土地勘もない。そんな中で逃げる空艇団。1人、また1人……と仲間が減っていく。そのような中で何とか、仲間を鼓舞して拠点へとの退却戦を指示する友永は奮戦する……
著者は、『ノワール』などを初めとしたアクションもののアニメ作品を手がけていたわけだけど、その辺りの息をつかせぬ展開は流石の一言。そして、その中での人間関係……
文字通りの戦場という場所だからどうしても現れるそれぞれの疑心暗鬼。相性。そして、その背後にある、それぞれが抱えているもの。自衛隊。それは国を守るために組織されたもの……といいつつ、しかし、言い方を変えれば品行方正な面々で構成されてるわけではない。そして、組織であるが故に、それを守ろう、部外者を排除しよう、という組織の論理も働く。その思いが影を落とし、そして、それを乗り越えて目的へ向かっていく……
「凄く感動した」みたいな感想を見たけど、私はどちらかと言うとアクションメインで、そのスパイスとして、という感じかな? と……。勿論、そんな素直なエンターテインメント作品として面白かった、というのは間違いないところだけど。

No.4066

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  •  土漠の花/月村 了衛
  • 月村了衛さんの「土漠の花」を読み終えました。月村さんの作品は、SF作品である「機龍警察」シリーズも面白いですが、現実の自衛隊を描いたこの作品もそれに劣らぬ面白さでした! 舞台となるのは、海賊の出没などで話題になっているソマリア近辺です。米軍に協力する形で、陸上自衛隊の空挺団の精鋭がそこにはいました。ある日、米軍のヘリが消息を絶ちました。その捜索救助活動を行うために、友永たちの部隊は現地...
  • 2016.06.23 (Thu) 22:55 | 日々の記録