(書評)ゼロの激震

著者:安生正



金精峠で発生した土砂崩れ。足尾町で起きた多くの人々の不審死。冨岡で起きた大火災。北関東で次々と起こる奇妙な災害。そのような中、かつて事故で部下を死なせてしまった元ゼネコン技術者・木龍の元へ、奥立という男が現れる。北関東で続く災害の原因は、マグマ活動に伴う火山性事象。そして、これ以上の被害を防ぐために、木龍の力を借りたいのだという。だが、木龍の協力も虚しく、秩父で大噴火が発生し……
うーん……感想を書く前にネットで他の人の感想を見てみたのだけど、結構、賛否が分かれている感じ。そして、私はどちらかと言うと、否の方かな? と。
巨大火山の噴火。それに伴う周辺の大打撃。この部分を見ると『死都日本』(石黒耀著)を思い出す。噴火の規模とかだと『死都日本』の方が大きいけれども。ただ、そちらはどちらかと言うと、噴火するとどういうことが起きるのか? というシミュレーション的な要素が強かったのに対し、本作はその噴火による打撃をいかに食い止めるのか? というのが物語の中心。
……なのだけど、イマイチ、どこを目指しているのかわかりづらい。物語は一旦、木龍たちが被害を食い止めるために立坑を掘るんだけど、間に合う前に噴火、とある。このあたりだと、物語的に火山を止めるのになんで? みたいなところがあって、イマイチ入り込めない。そして、木龍とも関係のある元官僚の香月は暴走。こちらも何で? という感じ。
しかも、読みづらさを加速させているのは、土木とかに関する専門用語が連呼されること。著者は建設会社に勤めていて、ということで、そういう部分については詳しいのだろうけど、素人としては良くわからなくて、テンポが悪くなった感しかなかった。
で、そんなこんなで、4分の3くらいを読み終わって、噴火に関しての理由とか、そういうのが分かったあたりで俄然、読みやすくなった。「何の為に」がわかるとやはり理解しやすいだけに。これ、もうちょっと早めにネタバレしても良かったんじゃないかと思う。
最終的な読後感は悪くない。それだけに、専門用語連発、何をしようとしているのかよくわからない中盤まで、が足を引っ張ったように思う。

No.4075

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