(書評)サッド・フィッシュ 行動心理捜査官・楯岡絵麻

著者:佐藤青南



行動心理学を用い、相手の仕草などからその嘘を見破る達人・楯岡絵麻。その手腕から、「エンマ様」と呼ばれる彼女の活躍を描くシリーズ第4作。全4編を収録。
正直なところ、前作で絵麻の宿敵とも言うべき相手との決着がついた感じだったのでシリーズ完結だと思っていた。基本的には、今回も4編目を一つのまとめとするため、そこへの伏線を取り入れているのだけど……毎回、書いている気がするけど、この作品の肝は、取調室でのやり取りであると考えているだけに……そこが微妙な感じ。
人気ミュージシャンが、スタジオで死亡した。前科もあり、死因は覚醒剤による中毒死。事故死として処理されたそれを、絵麻は調べ始める。関係者は、概ね、正直に語るのだが、なぜか、かつてのバンドについては反応がおかしくて……
このエピソード、結構、大掛かりなアリバイトリックとかがあるんだけど、結構、そこは地味(笑) それも含めて犯人の心理状況というのが題材になっているのが分かる。人に憧れる。目標にする。そして、独占したい。……その辺りが強調された結果なのかな? と。
同じようにひっくり返し、という意味では2編目。高齢者が頭を打って死亡した。そして、近所に住む男性が、犯人として逮捕された。しかし、殺意はなく、攻撃をしてきたため、避けているうちに転んでしまった、という……。このエピソードは、第三者の思い込み、みたいなところを題材にしているのだとわかる。恐らく、聞き込みとか、そういうのを徹底的にすれば判明するんじゃないかと思うけど、そこを一足飛びに、っていう辺りが絵麻の流石というところか。
そういうところと比べると、正直、4編目は力不足というか……。相手の嘘を見抜く、そういう部分こそが、この作品の売りなのだけど、絵麻が潜入捜査をしてっていうのは作品のカラーからして違うんだよね。心理学を理解していても、知識と心は別、っていうテーマ性はあるのかもしれないけど……
個人的にこのシリーズは一種の様式美の作品だからこそと思っているのも大きいのかも。

No.4080

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  •  サッド・フィッシュ 行動心理捜査官・楯岡絵麻
  • サッド・フィッシュ 行動心理捜査官・楯岡絵麻 作:佐藤 青南 発行元(出版): 宝島社 ≪あらすじ≫ 行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る刑事・楯岡絵麻。その手腕から“エンマ様”と呼ばれていた。人気歌手の死は本当に自殺なのか。老婦が殺された原因はご近所トラブルによるものなのか。SNSを巡る事件の裏には何が隠れているのか。捜査に勤しむ絵麻のもとに、かつ...
  • 2016.07.08 (Fri) 21:25 | 刹那的虹色世界