(書評)不動産男子のワケあり物件

著者:成田名璃子



大学4年の12月になっても就職が決まらない充。ひょんなことから、まったく別の人・須藤と間違われ、不動産会社への内定を貰ってしまう。勿論、須藤として……。年明けから研修を兼ねたアルバイトになったのだが、社長は、事故物件や悪条件でも、平気で客に押し付けようとして……
タイトルその他から、事故物件に関するあれこれを解決する話とか、そんな感じだと思っていたら違った。いや、全く関係ないわけではないのだけど、どちらかと言うと不動産会社の内情暴露とか、その中での主人公のささやかな抵抗とか、そういうのがメインの話となっている。
丁度、これを読む前くらいに、WEBでの不動産仲介などが流行っているけど、(実際には契約が決まっていたりする)おとり広告が増えている、みたいなニュースを見たのだけど、そのタイミングでこれを読んだので余計に「へ~」という感じがしたりする。
まぁ、自分のところが直接持っている物件と、仲介の形の物件。どちらにうまみがあるか、と言えば当然に前者だから、そちらへと誘導する。また、「ここの物件に」と言うための流れを作る。そういうのは、どこまで許されるのか? という問題はあるけど、それが即ち悪いこと、とは思えないからなぁ……。ある意味、純粋な充だから、というのはあるにせよ、ちょっと青臭さが目立つような気がしないでもない。
そういう意味では、2編目が一番、素直に楽しめたかな? やってきたのは「婚約者」だという男女。しかし、明らかに男が女を自分の思うがままに動かしているだけ。しかも、女性の側の意見を無視して、自分の見得だけで物件を決めようとしている。話を聴いていると、男はヒモとしか思えない……。社長は、関係ない、というが……
例によって青臭いのは確かなのだけど、長期的に見て採算が取れる相手か? って問題もあるし、ハッピーエンドだし、このエピソードが一番、綺麗にまとまったように思う。
読みやすさ、とか、そういうところは問題ないし、ちょっとした時間に読んで、「へ~」と思える。そういう作品には仕上がっていると思う。

No.4087

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