(書評)ガソリン生活

著者:伊坂幸太郎



のんきな兄・良夫と、聡明な弟・亨。二人を乗せた車に、今、世の中を騒がせている元女優・荒木翠が乗り込んできた。彼女が希望する場所まで運んだ二人だが、翌日、浮気相手の男性と事故を起こして急死。彼女を追いかけていたパパラッチ。さらに、脅迫騒動やいじめ騒動なども巻き起こって……
まぁ、有名な作品なので言わなくともわかっている気がするけど、語り部は車。良夫ら、望月家の車である緑のデミオ。乗っている人間の言葉を理解できるし、自動車同士で会話をすることも出来る。でも、デミオの側から人間に働きかけることは不可能だし、また、当然のことながら自分の好きなように移動したりすることも出来ない。そんな中で、望月家に降りかかるトラブル……
先に書いたように、そもそもが語り部が一方的に知るだけの側のデミオなのでもどかしい。周囲の車との会話で、周囲の人間の会話を聞いて、色々と情報が入っているのに、それを伝えることが出来ない。特に、のんきな良夫の人の良さなどがあるから余計に……
とは言え、危ない脅迫者とかは出てくるものの、雰囲気はどこかのんびり。それは、先に書いた良夫がそうであるし、その愛車であるデミオがそういう性格だからだろうし、また、よく話をする隣の家のザッパらとのやりとりがあるからだろう。また、基本的には、悪人らしき悪人が、直接には関わってこないのも大きいかもしれない。それも全て、著者の作品の特徴である会話劇が独特の雰囲気を作り上げいるといえるだろう。
ひっくり返しとか、そういうタイプの作品と言うよりもあくまでも、それぞれのキャラクターの掛け合いにほっこりとして、そのアクセントして危機的状況を入れる。そんなタイプの作品であるように感じた。
しかし、まぁ……この作品の車達のように、普段、自分が使っている道具とかが、実は会話とかをしていたらどんなことを行っているんだろう? と不安になる。うちのHDDとテレビが、「うちの主人は、アニメばかり溜め込みやがって……」とか愚痴を言ってそうだもの(笑)

No.4097

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