(書評)晴追町にはひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子

著者:野村美月



消えてしまった夏祭の目玉花火。公衆電話にかかれたイタズラ書き。町のアイドル的存在の司書・図書館王子。目の前に謎が現れたとき、大学生の春近は片想いの相手・ひまりさんと共に解決に乗り出して……
ということで、シリーズ第2作となる連作短編集。全4編+αを収録。
謎解き、というのはこのシリーズというか、このレーベルというかの定型とでも言うべき部分なのだろうけど、その上で今回は、晴追町、そして、ひまりさんの夫・有海さんについての情報が多く出てきたな、という感じ。
1巻では、ひまりさんは結婚をしている。そして、その相手は、ひまりさんが連れている犬と同じ名前、くらいの情報しかなかったのだけど、今回は、(人間の方の)有海さんというのは、一種の放浪癖がある研究者。そして、町のアイドル的な存在である図書館王子とどことなく雰囲気が似ている……。勿論、直接的には登場してこないのだけど、でも、だんだんと輪郭がはっきりとしてきたな、というのを感じる。
そんな中で、好きだったのは2編目。長崎の学校へ進学した巴崎の親友・ヒロセが、ひっそりと晴追町へと戻ってきていた。しかも、とんでもなく汚い言葉を、電話ボックス、公衆電話にイタズラ書きしていた……
暖かい雰囲気の作品。そういうのは好きなのだけど、ある意味、それが当然の世界って気持ち悪いと感じることがたまにある。特にこの作品の場合、主人公は夫のある存在に恋していて……。ある意味、インモラルな点を持っている作品。すべてが綺麗事ではいかない。そんな中で、その距離感が気持ち悪い。皆がきれいな存在だから劣等感を感じる。そういう存在が出てきた、というのは作品世界に刺激を与えるスパイスのように感じる。そして、そんな親友の、そういうところが良い、という巴崎。毒をもっているけど、それを覆い隠して良い人のように振舞うのがヒトセにとって劣等感になる。一方で、そのように器用に振舞えない巴崎にとって、ヒロセのそんな器用さが……。どちらが良いのか? そういうのも感じさせられた。
そんな中で、この巻のラストで春近が大切な一言を言って……
3巻目で一気に動き出しそうな予感。

No.4102

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