(書評)バビロン 2 死

著者:野﨑まど



超都市圏「新域」の長となった齋開花の発した、自殺の権利を認める「自殺法」宣言。そして、その直後に、新域庁舎から64人の同時飛び降りが発生する。暴走する齋開花の行方を追い、東京地検特捜部の検事・正崎善を中心に法務省、検察庁、警視庁を跨いだ捜査班が組織されるが……
待っていました! なシリーズ第2作。「春刊行」予定が夏まで延びてしまったものの、期待を裏切らない面白さで一気読み。
この作品の最大の魅力って、私は「不安」じゃないかと思う。ただ、1巻と2巻では、その「不安」の質が異なっている、というのを感じる。
第1巻の不安と言うのは、「どこへたどり着くのかわからない」という不安。製薬会社の不正から、それとは直接関係していない大学准教授の死、さらには政治の世界へ……と次々と場面が転換。息をつかせぬ展開ではあるのだけど、それがどこへ繋がっているのかサッパリ分からない、という不安感で読まされた。
対して、本作の不安感は「何かが胎動している」という不安感。自殺法を宣言して以降、行方をくらませた齋開花。自殺法を争点として、新域議会議員選挙が行われようとする。新域の域長選挙を巡り、不正を働いていた各政党の幹部たちは奔走し、世間も自殺法に対しては否定的な見解が多数を占めている。
肝心な齋開花の行方はつかめない。けれども、状況は決して悪くない……はず。けれども何かあるのではないか? という不安感が常に付きまとう。それは、不利な状況であるのに余裕を感じさせる齋開花の存在であり、そして、周囲に死を招く謎の女・曲世愛の存在があるから。そして、そのような状況の中で行われる投票日前日の公開討論会……
完璧だったはずの否定派の計画。しかし、そこに向けてじっくりと秘めていた齋開花の計略が完全にはまる。そして、違法行為も辞さないつもりで計画していた正崎らの計画に乱入した曲世愛により、その場は悲劇の惨状へと変貌し……。終盤の展開のさせ方とかは似ている気がするけど、今回は不安感を徹底的に溜めにため、それを爆発させる。今回も滅茶苦茶にひきつけられた。
で、3巻はまだですか?(笑)

No.4105

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