(書評)殺人探偵・天刀狼真

著者:神高槍矢



人間と、人間の姿をしながらも人ならざる者「ホロ」が共存する町、白瑠璃市。「姉」を殺すため、白瑠璃市にやってきた探偵・天刀狼真は、路地裏のバーで複数の惨たらしい惨殺死体を発見する。同じ頃、白瑠璃市のギャング組織・クロノスのリーダー・黒野弥人は、家の外に出たことがない、という少女・姫川蛍と出会う。そして、そんな天刀と黒野が行動を共にしたとき……
とりあえず言っておこう。この作品、タイトルは「殺人探偵」とあるが、探偵要素は殆どない!(ひっくり返し、みたいなところはあるけど) そして、天刀が白瑠璃市にやってきた理由である「姉」も「もしかしたら?」くらいでほぼ、影も形もない。
と言っても、話自体は嫌いじゃない。
主人公である黒野(タイトルは天刀だけど、ほぼ黒野視点)が少女・蛍と出会う。彼女は、生まれてからずっと部屋に幽閉されており、ようやくそこを逃げ出してきた、という。ギャング団のリーダーといわれているが、不正を正す「正義」でありたい。筋を通したい、という人間。そこで、市の方針にも逆らい、彼女の保護を決める。そんなとき、バーでの殺人の容疑者として連れられてきた天刀と出会い、共に蛍の保護をすることに決める。ところが、蛍は市にとっても要人だとして追う、市などだけでなく、なぜか、クロノスのナンバー2・宮間まで、黒野を裏切って迫ってきて……
結構、シンプルな話の流れではあるんだけど、蛍を守るために迫り来る敵と二人が戦う。そして、その中で知ることになる蛍の秘密。蛍は確かに危険な存在。でも、彼女が望んだことではなく、その力ゆえに理不尽な扱いをされてきただけ。そんな彼女を法っていいのか? そして、黒野を裏切った宮間。彼がそうぜざるを得なかった理由……
黒幕が誰なのか? とかは、登場人物が少ないこともあって予想しやすいのだけど、物語の中心となっている部分はしっかりとしているので、これはこれで十分に楽しむことが出来た。ただ、著者は前作をシリーズの途中で投げっぱなしみたいなところにしているだけに、今後、どうなるのか気になるところ(話の展開が見えない、とかじゃない、嫌な意味でね)

No.4114

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