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(書評)道然寺さんの双子探偵

著者:岡崎琢磨



福岡にある寺、道然寺。この寺には、しばしば、動物が捨てられたりするのだが、十数年前、そこに捨てられていたのは、双子の赤ん坊。レンとラン、寺の子供として育てられた二人は、寺で不可思議なことが起きたとき、推理の冴えを見せる。謎を解決するのはどちら?
これは、新シリーズ、なのかな?
物語は、副住職である一海が、双子のどちらかと共に謎に出会う。そして、その謎を、片方が推理して解決させた……かのように思わせる。しかし、後で話を聞いたもう片方の双子が別の真相を示す……という流れ。ある意味、パターンが決まっているので、これはネタバレ……じゃないよね?
こういうと何だけど、真相を解明する側は、現場に居たのではなく、あくまでも事後に話を聞いて、という形なので安楽椅子探偵と言えると思う。確かに、最初に提示される回答には、積み残しがあるわけだけど、ちょっとひっくり返しのためのひっくり返し、というような感じを受けるのは仕方がないところか。
とは言え、そのキャラクター付けがあるので、「見方を変えれば」という一種のテーマ性に繋がっているのが上手いところ。性善説的な考えでものを見るラン。反対に、性悪説的な考え方でものを見るレン。それぞれ、事件の真相に近づいてはいるけど、その根本的なところで見逃してしまう。それは、人の考えの一面性とか、そういうことにも繋がるのだろうし、テーマとして昇華されているのではないかと思う。そのほかに、ランの食いしん坊キャラとかもあるけど(笑)
そんな中で、双子の親か? という4編目。ぶっちゃけ、実はあまり関係のない話、と言うことが判明するので多少肩透かし気味ではあるのだけど、ある意味、そこまでの3編とは違い、その場その場での推理の冴えを見せたりする。そういう意味では、この巻でしっかりとキャラクター付けをし、その上で……という可能性を示したエピソードではないかと思う。
双子が同時に事件に遭遇して、とか、そういうパターンも出来そうだし、そういう形での続編を期待したいところ、かな?

No.4116

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  • 2016.08.16 (Tue) 18:40 | 刹那的虹色世界