(書評)ティファニーで昼食を ランチ刑事の事件簿

著者:七尾与史



室田署刑事課の新人刑事・國吉まどかは、「警視庁随一のグルメ刑事」と呼ばれ、ランチに全力を傾けている。そんなまどかと、相棒の高橋竜太郎が注目するのは、リニューアルされた警察署の食堂ティファニー。値段は高めなものの、絶対味覚を持つコック・古着屋の作る料理は絶品。そして、その味は、犯人もイチコロ?
という連作短編集。
何と言うか、著者の作品は結構、色々と読んでいるのだけど、こう見ると凄いひっくり返しとか、トリックとかは無縁。しかし、安定感のある作風で、サクサクと読める作品を次々と出してくる、という印象。今回は、料理がテーマ。
例えば1編目。発売されたばかりのゲーム機を転売目的で買占め、その結果、店員を脅迫したとして逮捕された元暴力団員の男。取調べに対してものらりくらりとした態度を取る男はカレーを食わせろと要求。そこで、食堂でカレーを食べさせると……。これなんか、ひっくり返しも何もない。ただ、料理を食って、改心して……というだけ。でも、その中に気楽に読ませる技術が詰まっていると感じる。
男の取調べを行うまどか。しかし、のらりくらりとした男の態度。しかも、そちらの口車に乗せられてしまう。そんなまどかに突っ込みを入れる高橋。コンビ二人のキャラクター、立ち位置。そして、そのカレーを作る過程を通して、古着屋の凄さを示す。作品の世界観をしっかりと説明した導入編と言えると思う。
身体の一部が切り取られていた変死体を描いた2編目。絶品ドリアを作るシェフが殺された3編目。正直。テーマ自体は決して目新しいものとは言えない。ただ、それをサクサクと読ませる、というのが流石と言ったところだろう。
そんな感じで、3つの事件は解決するものの、古着屋はどうやら絶対味覚を持っているらしい。そして、その舌で色々と食べているらしい。その辺りはわかるものの、何者なのか? とか、そういうところは一切不明。話としては、シリーズものの、第1巻、導入編と言った感じになるんじゃないかな? と思う。

No.4119

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  • 2016.08.20 (Sat) 22:54 | 刹那的虹色世界