(書評)仮面病棟

著者:知念実希人



先輩の代理で、療養型病院である田所委員の宿直に入った医師の速水秀悟。そこに現れたのはピエロの仮面を被った男。コンビニ強盗で人質にとった女性を怪我させてしまった、というピエロの要求に従い、秀悟はその女性の治療を行う。朝になれば全員を解放する、というピエロ。しかし、そんな中、態度のおかしな院長。そして、病院を巡る秘密が明かされていき……
医師である著者の作品。舞台が病院で、真相にも医療的な話というのは関連している。ただ、専門知識を駆使し、著者にしか書けない、という話ではない。こう言っては何だけど、同じようなネタの作品というのは結構、多い。ただ、それでもテンポの良さと、オチへの興味で一気に読み勧めることが出来るのが最大の長所と言えると思う。
コンビニ強盗からの逃走中で、金が欲しく、かつ、警察をやり過ごす場所が欲しい、というピエロ。持っている金は全てやる。抵抗もしない。そう約束する秀悟だったが、電話線を切り、コソコソと何かをする院長の態度はいかにも異常。そして、ピエロも金が欲しい、と言う割に何か、別のものを捜している様子が伺える。両者の態度の違和感の中、秀悟は治療した女性・愛美とともに病院を巡る。しかし、そんな中、殺人まで起きてしまう……
正直なところ、主人公が院長やピエロに違和感を覚えるのはわかる。でも、同時に疑わしい人物がおらんか? という感じを受けてしまう。多分、実際に秀悟の立場なら……ってことになるんだろうけど、読者は第三者的な立場で謎を見るからどうしても、という感じ。ひっくり返し、というよりも、「やっぱり」くらいの感じだった。
まぁ、そういうところも含めて、謎解きとかよりもテンポの良さで楽しませるエンタメ作品といったところかな? 先日読んだ『優しい死神の飼い方』もそうだけど、著者は医療という中心点を持ちながらも色々と作品の幅を持っているんだな、というのを再確認することが出来た。

No.4125

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  •  仮面病棟
  • 仮面病棟 著:知念 実希人  発行元(出版): 実業之日本社文庫 ≪あらすじ≫ 療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス...
  • 2016.08.28 (Sun) 20:29 | 刹那的虹色世界