(書評)カササギの計略

著者:才羽楽



授業とバイトを終え、アパートに戻った岡部の前に現れたのは、「ミシェル」と名乗る美女。いきなり頬をはたかれた上に、部屋に上げることに。華子という名前だという彼女は、かつて、岡部と約束を交わしており、そのために現れたという。なし崩し的に同棲することとなった岡部は、次第に華子に惹かれていくが……
第14回『このミス』大賞隠し玉作品。
この回の『このミス』隠し玉は、本作が「ホワイトどんでん返し」で、『何様ですか?』(枝松蛍著)が「ブラックどんでん返し」らしい。まぁ、物語の裏にあるのはピュアな感情だ、というのはわかる。
ただ……正直なところ、真相が明らかになって感じたのは、感動とかよりも、「気持ち悪い」という思いだったりする。
主人公、岡部の前に現れた美女・華子。かつて、ある約束を交わしていた、という彼女にだんだんと心惹かれていく岡部。しかし、華子は発症したら治すことが出来ないという難病を抱えており、その前に、という想いがあるという。しかし、その影にはある計略が……
解説で宇田川拓也氏が述べているように抜群の導入。岡部の先輩・勝也のちょっと奇妙だけど面白い会話、時折挟まる華子の回想シーンでの、華子と弟とのやりとり。それらは魅力的だし、全体を通すと魅力的な要素に溢れている。ただ、正直なところ、その中で最後の最後にようやく回想シーンが挟まれる人のことが良くわからないのだ。そこでちょっとだけ、心情を吐露しているのだけど、そんなもので済むのか? と言う感じがしてしまった。自分だったら、絶対にそんなのに協力しないと断言できる。気持ち悪いし、嫌だよ、そんなの。それを引き受けるまでのやりとりとかはもっとあってもいいんじゃないだろうか? というか、引き受けたとしても、それだけ完璧には出来ないはずじゃないか? と思えるのだが……
ホワイト、というような売り方をされていて、確かに、それぞれの心情はホワイト。でも、そのホワイトが歪な形で結びついて、狂気を覚える全体図が出来てしまったように思えてならない。私の考えすぎかな?

No.4128

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