(書評)ハナシマさん

著者:天宮伊佐



北関東にある韻雅町。そこでは、連続猟奇殺人が発生し、警察は捜査に難航していた。町が恐怖に染まるころ、町の高校に一人の少女が転入してきた。華志摩玲子という名の彼女は、誰とも話さず、興味を示さず、周囲から孤立していく。そんな彼女の手首にはリストカットの後が……。一部で、町で起きる連続殺人が「手足を欲しがる存在による」という都市伝説と結びつき、やがて……
第10回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。
雰囲気は凄く好き! 奇しくも、『女学生奇譚』、『夢の猫』と怪異を題材にした作品が連続してしまったのだけど、ある意味、一番、現代社会的な舞台設計で展開されている気がする(『夢の猫』は、そもそも時代小説だけど)
物語は、学校の生徒達。事件を追う刑事。被害者の恋人。様々な物事を見通す「教授」……といった多視点で綴られる。それぞれの立場で、事件と言うのが目の前にあり、距離は異なれど、昔、手足を殺されて死んだ少女の亡霊が起こしているのだ、という噂を耳にしていく。その中で、何も語らず、不気味な雰囲気だけを醸し出す華志摩……
多少、唐突な展開かな? と感じる部分はあったものの、雰囲気の造り方。それぞれの視点の主の心情描写、そして、そういう描き方だからこその仕掛けなどはしっかりとしており引き込まれた。所謂「ライトノベル」レーベルの作品というよりも、角川ホラー文庫とか、そういうレーベルで出た作品のような感じはするけど、これはこれで良いだろう。
ただ、そういう地に足の着いた形で展開するからこそ、犯人については……という感じ。ミステリ好きとしてこれはナシ、とも思う。
(ネタバレ反転)犯人は実は、最初の被害者の恋人。恋愛感情のもつれで殺してしまったが、極度の手フェチであった彼は、死体の手を持ち帰って恍惚を得た。しかし、すぐに腐敗してしまったため、新たな手を狙い事件を起こした。ここまでは良い。その恋人は、最初の事件の際、事件の日はレストランで待ち合わせをしていたが来なかった、と回答。しかし、実際にはそこで会ってプロポーズした結果、振られて……。警察は、恋人の行動確認をしなかったのだろうか? また、途中の事件で、死体をバラバラにするために専門業者などしか使わない刃物が利用されていた、とある。そっちの線から調べることもしなかったのだろうか? 細かい、と言われるかもしれないが、そのあたりに矛盾というか、ご都合主義というか、そういうものを感じずにはいられなかったのである(ここまで)
話の進め方とか、雰囲気とかそういうのは凄く好き。それだけに、ネタバレ反転したところが引っかかって仕方なかった。

No.4131

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