(書評)撫物語

著者:西尾維新



かつて神だった少女・千石撫子。漫画家になる、という夢に向かい努力を続ける彼女に親が放ったのは、「中学を卒業したら働きに出なさい」という一言。時間に追い詰められた彼女は、斧乃木余接の力を借り、自らの分身を作り出す。しかし、誕生した分身は、それぞれ勝手に行動し始めて……
とりあえず、ルマ撫子の挿絵がないのはどういうことだ! ……いや、元々、このシリーズに挿絵なんてないけどさ……(あほ)
ある意味、このシリーズで一番、「面倒くさい」キャラクターである千石撫子。彼女の語りによって、作中でも触れられているけど、登場するたびに立ち位置が変わり、暴走し、周囲に甘え、迷惑をかけた存在。そんな彼女の集大成的な話になっている、という感じだろうか。
撫子が、本当はアシルタント的存在にすべく作り出した分身は4人。蛇の呪いのとき、周囲にこびていた頃、自暴自棄になった頃、そして、神であった頃。どれも間違いなく、撫子そのもの。しかし、その当時のままに描き出してしまった式神は当然、今の撫子のような「漫画家になりたい」という想いは抱いておらず、撫子の元から逃走。そして、そんな分身を回収するために四苦八苦する、という話。
そんな感じなので、まず撫子が直面せざるを得ないのは自分の過去。ある意味、黒歴史とも言うべきものに直面し、それでも立ち向かう。まぁ、斧乃木余接や、忍野扇とのやりとりとかで、笑いを取り入れながらも、そういう過去と向き合う姿は、撫子の成長を凄く感じさせる。勿論、上半身裸&ブルマの姿で分身が町中を徘徊している、とか、そういう状況になったら止めるってのは当然だけどさ(笑) でも、過去の彼女なら、それすら諦めていた気がするもん……
最初のエピソードはともかく、シリーズを重ねるごとに、だんだんと面倒くさくなり、好感度を落としていった撫子。でも、それがあったからこその今回のエピソードだと思う。
正直なところ、ファイナルシーズンに入ってから、イマイチと感じるエピソードが多かったのだけど、今回は素直に楽しむことが出来た。

No.4132

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