(書評)何様ですか?

著者:枝松蛍



クラスの中で、孤立しつつも、その中の人間関係を冷ややかに見る女子高生・平林美和。皮肉な目で周囲を見ながら、大量殺人計画・ファイナルプランを行おうと画策する……
第14回『このミス』大賞隠し玉作品。
宝島社の売り方によると、同じ隠し玉である『カササギの計略』(才羽楽著)が「ホワイトどんでん返し」、そして、本作が「ブラックどんでん返し」として売り込みがされている。
うーん……どんでん……返されていた? 売り方の問題とかもあるとは思うのだけど……
物語は、3つの視点で展開する。冒頭にも書いた、クラスで孤立し、周囲を冷ややかに見ながら、大量殺人事件を起こそうと画策する美和。兄への手紙、という形で、周囲で起こったことを記す「ぼく」。そして、美和から一番、「鬱陶しい」と評価される、クラスのリーダー的存在の穂乃果。そんな彼女が、周囲で起こったことを綴るブログ。その3つの文章を繰り返すことで進んでいく。
スクールカーストというか、そういうものを巡る話っていうのは、最近、結構多い。第13回の『このミス』大勝の大賞受賞作である『女王はかえらない』(降田天著)もそんな感じだし、同じく『このミス』でデビューした堀内公太郎氏の『スクールカースト殺人教室』も同じような題材を扱っている。そういう意味では、またか、という感じがした。
その上で、美和の、穂乃果に対する冷ややかな視線。はたまた、「僕」の視線って、すっげーわかる(笑) 新理事長って、従業員過労死で有名な某ワ○ミ創業者をモデルとしているのは明白なのだけど、そういう人物が言う「夢」だの、「熱意」だのって、何だかな……って感じするし、それを持ち上げた穂乃果のブログ記事も……。何しろ、高校、大学と文化祭は全てサボった自分だ!(ぉぃ) その辺りへの共感は出来た。
ただ、ミステリ作品である、という前提で読み、しかも、先に書いた「どんでん返し」と言うのが表に出ると、まず、警戒してしまう。そして、それぞれのエピソードを深読みする。そしたら……
どんでん返しじゃなくて、単に周囲の評価が間違っていなかっただけ、という感じがするのだが……
先に「売り方の問題」と書いたけど、「どんでん返し」なんて煽らなければ大分違ったのではなかろうか? なんか勿体無い売り方、という印象になってしまって仕方がない。

No.4141

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