(書評)バベル九朔

著者:万城目学



一財産を築いた祖父が残した雑居ビル・バベル九朔で管理人をしつつ、小説家を目指す俺。最近、このビルでは奇妙なことが立て続けに起こる。巨大な鼠、カラスのような恰好をした女、不可思議な泥棒騒ぎ、異様な量の水道使用……。そんな中、ある絵に触れた瞬間、見慣れない湖にいて……
他の人の感想を見ていても、大体、同じことが書かれていたのだけど、これまでの著者の作品とはまったく別の趣の異なる作品。なんというか、物語冒頭から溢れ出る不安感。そして、そこから続く不可思議な世界観……
まぁ、例えば、冒頭、「作家志望」と言いながらも、実はあまりそれをやっているとも言えないグータラとした日常とかは『鴨川ホルモー』の冒頭とかを思い浮かべるし、探偵の四条さんとかのキャラクターとか、そういうのも従来の作品っぽい。けれども、その背景とでも言うべきものが違う。
紹介文でも書いたように、日常描写の中でも出てくるのは不安感を煽るような出来事ばかり。カラスだって鼠だって、別にありふれたものではないのに、いざ、それが目の前でいるとなると「怖い」という感じが先にたつ。そして、そこから異世界へと転送されてからはさらに、何が正しくて、何が違っているのか……という不安感に苛まれる形へと流れていく……
そもそも、何に巻き込まれているのかも良くわからない。5階建ての建物なのに、延々と続く階段。そこで出てくるのは、雑居ビル・バベル九朔にかつてあったテナントたち。それが意味するものは? さらに、俺の前に現れては、「ここにいる」と言わせようとする者たち……
「神に挑んだ結果、神の怒りを買い、破壊された」
なんていう言い方をされるバベルの塔だけど、その意味で言うと大九朔は、それを維持することで??? しかし、それを維持するためのものは、「無駄な努力」で??? 言葉に拘るのは、人間が一つの言葉で意思疎通できるから、こんな形で挑戦したんだ、なんていう話とのかかわりなのだろうけど……。旧約聖書とかそもそも、全く知識がない自分が、途切れ途切れの知識をつなぎ合わせるとますます良くわからなくなってしまった。
まぁ、従来のような作品とはカラーが異なる、というのは間違いない。結論、そこ? と、自分でも書いていて思った(苦笑)

No.4147

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