(書評)ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬

著者:櫛木理宇



まもなく冬。晶水は、親友であるトシこと、美舟から悪い夢を見るという相談を受ける。蛇と老婆、というその夢のことを「ゆめみや」の千代に相談するのだが、いつもはしつこいくらいになれなれしい壱の様子が何かおかしい。そして、その夢は、学園の生徒たちに伝染していって……
シリーズ第3作で、初の長編。
物語の中心となるのは、冒頭に書いた「蛇と老婆」の夢。そもそも、その老婆に覚えがないし、蛇と言われても……。しかも、同じような夢を見る生徒が続出。夢って伝染するものか? はたまた、皆に共通点が? 確かに、学園の近くの「マムシ山」と呼ばれる山、そこでの遺体発見事件。その山に住む一家……それっぽいものはあるにはあるが……
過去2作は短編ということもあり、夢から依頼人の過去の出来事を、というあくまでも個人的な話だったものが、学園全体での問題。そして、ある意味、町の歴史にも話が及ぶなど、大分、スケールの大きな話になっている。そして、その中で晶水と美舟の友情が光る。
ただ、今回の物語の場合、むしろ大きいのは、スケールよりも晶水と壱の関係の方かも知れない。
紹介文で書いたように、いつもはしつこいくらいに迫る壱の様子がどうにもおかしい。何か晶水を避けているし、「夢見」は一緒に行うもののどうにもよそよそしい。そのために、ミスをしてしまうことすら……。そんな状態になったのは、壱が助っ人で参加したバスケ部の試合で、晶水と同じ中学だった男子生徒と会ったこと……
こっちは、「多分、この辺だろうな」というのが想像できるし、本当のその想像通りだった。でも、意外とそれが後を引くことに。晶水は晶水で壱の様子がおかしいのは、壱の心が自分から離れてしまったのでは? 以前に騒動があった神林とかに……などとうじうじと悩む。前回の感想の締めに、「全く関係性が進まない」とか書いたけど、その点で言えば、話が一気に進んだ感じ。だって、完全に意識しているわけだし。晶水が何だかんだと、自分の心を自覚し始めている、ってことは関係性の変化にも繋がっていくのかな? と……
そういう意味で、普段よりスケールの大きな話の中で、晶水とトシの友情。そして、晶水と壱の関係の進展。2つの関係性が楽しめた巻、と言えるんじゃないかと思う。
……で、これ、続編ありますよね?

No.4148

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村


スポンサーサイト

COMMENT 0