(書評)スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ

著者:友井羊



シェフ・麻野が日替わりで作るスープが自慢のスープ屋・しずく。早朝にひっそりと朝営業するそこには、近くのタウン誌のスタッフがよく訪れる。そして、そこには謎もついてきて……
前巻でシェフ、麻野の過去とかが明かされて……なので完結と思ったのに刊行されたシリーズ第2作。全4編を収録。
前半の3編については完全に「日常の謎」の形。
タウン誌の編集部で働く理恵。その上司である布美子は、マンションを購入。夫との仲も順調そのもののように見えるが、夫から布美子の様子がおかしいといわれる。さらに、布美子の周辺で泥棒騒ぎも起きていて……(『モーニングタイム』)
人事評価があり、もしかして異動? という理恵自身の複雑な心境。さらに泥棒騒ぎに、確かにおかしな上司の様子、と短編にしてはかなり詰め込んでくる。泥棒騒動の犯人とか、結構、小粒な感じだけど、それぞれが連鎖的に解明されていく様は非常に心地良かった。
理恵の初恋の相手。何かと普段、ボーっとし、トンチンカンな受け答えをすることも多いクラスメイトの西山。そして、そんな彼の思い出と言うと林間学校で起こった奇妙な出来事……(『シチューの人』)
真相は結構、重いものがある。ただ、林間学校での奇妙な出来事の謎という魅力。さらに、結構、重い過去の話が暖かい形で決着していくところが魅力的。一つだけ難があるとすれば……結局、このエピソードのあと、理恵と西山の関係がどうなったんだ? というところが気になることだったり、
そんな中で、麻野家の過去が垣間見える『レンチェの秘密』。
前巻もそうなんだけど、このエピソードだけ明らかにカラーが異なるんだよな……。引きこもり状態になった忠司。そんな忠司を何とかしたい梓は、彼が引きこもるきっかけを調査する。そして、その中で、静句という女性警官は自分のせいで死んだ、と言っていた。しかし、そんな情報を得た頃から、梓に対して脅迫が届くようになって……
と、書いただけでカラーが異なるのがわかるでしょ? 1編目で泥棒騒動はあったけど、こちらは「泥棒が?」という疑惑だけ。対して、本作の場合、脅迫やら何やらと明らかに犯罪。そして、そのように調査を仕様とする梓を明らかに毛嫌いする露。勿論、遺された者にとって、掘り返されたくないっていうのはあるだろうけど……。どうしても浮いている感がある。
話としてまとめるのに、っていうのはわからないではないのだけど、普通に日常の謎エピソードで終わってもいいんじゃないかな? と思えてならない。

No.4152

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