(書評)ずうのめ人形

著者:澤村伊智



オカルト雑誌の編集部で働く藤間は、締め切りを前に音信不通となったライターの家を訪れる。そこにあったのは、目をくりぬかれる形で死んだライターの遺体。そして、ところどころが失われた原稿。ホラー作品好きの少女が綴られたその原稿には、「ずうのめ人形」という怪異にまつわる話が綴られていて……
作中に鈴木光司氏の『リング』に関する話が出てきて、何かそれをある意味、オマージュしたような部分がある。
というのは、多少のネタバレになってしまうのだけど、本作の「ぼぎわん人形」もまた、感染するタイプの怪異であるから。原稿を残し、目玉を失った状態で発見されたライター。その遺された原稿を手にしたのは、藤間とともに死体を発見した青年・岩田。しかし、その岩田もまた、同じような形で遺体となって発見された。ということは、原稿を読んでしまった自分もまた、人形が見えるようになって……
『ぼぎわんが、来る』の野崎、真琴と共に、どうやったらその呪いを解くことが出来るのか? そもそも、この原稿の出所はどこなのか? そもそも、原稿に書かれていることをどこまで信じて良いのか? タイムリミットが迫る中で、その調査を行うことに……。このあたりの流れとかって、(私はTVドラマ版を見ただけ、だけど)『リング』の流れに似ている。
上手いな、と思うのは、そのミステリ的展開の藤間の章。そこに織り込まれる形で挿入される原稿の対照的な内容。ただ、「ずうのめ人形」についてだけでなく、独善的で周囲を支配したがる父親。そこから逃げたものの、敵味方のみで、なおかつ現実を見ようとしない母親。学校での境遇……。そんな環境に振り回される少女のドロドロとした感情が描かれる。何が原因なのだ? というミステリと、原稿内のドロドロとした物語。それが両輪となって、文字通り、2つの話を読んでいる気分。
前作と同様に、終盤のまとめ方は、色々と詰め込みすぎで忙しいと感じる部分はある。結局、野崎たちが、どの程度……っていう部分もあったし。ただ、そこをマイナスにしても面白かった、と断言できる。

No.4154

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