(書評)怪談のテープ起こし

著者:三津田信三



自殺をする前、残される人へ向けてメッセージを残す者がいる。そのメッセージを集める、という企画をしていた編集者時代の私。しかし、その企画を立てた吉柳は失踪してしまい……(『死人のテープ起こし』)
など6編を集めた短編集……で良いのかなぁ?
いや、基本的には独立したエピソードを6編集めた作品であるのは間違いない。ただ、その間に、その短編を作る際に手伝ってくれた編集者・時任が奇妙な出来事に見舞われて……という話があるため、ある意味、繋がっているともいえる。ただ、『どこの家にも怖いものはいる』や『のぞきめ』みたいにそれぞれが完全に結びついているわけではないから余計に。一応、作中でも言われるように「敢えて言えば」では結び付けられるのだけど……
ということで、短編集として、それぞれの話についての感想を書くことにする。
まず、表題作に近い1編目。これは何と言うか……何だか良くわからない怖さ、ってところだろうか。冒頭に書いたように、自殺者が残したメッセージテープを再生。そこには、文字通り、自殺前の言葉が。いざ! と思うものの、なかなか決心が出来ない。そんな生々しい様子は印象的。そして、その中にノイズのように混じる奇妙な声……とも思えないような声……? 本当、何だか良くわからないが不気味……
2編目の『留守番の夜』。割の良いバイトとして紹介されたのは資産家で留守番をして欲しい、というもの。別に介護が必要でもない、高齢の叔母がいるから……という理由だったが、実は、既に死んでいるとも聞く。そして、その夜、留守のはずの部屋から物音が……。こちらは一応、それらしき理由などは説明されている。ただ、それでも正体は不明なんだよな……
ある意味、怖いのは『すれちがうもの』。就職し、アパート暮らしを始めた主人公。ある日、部屋のドアの前に瓶に入った花が。「これは何?」 そう思い、普段より遅れてしまった私は、普段、すれ違う人からどのくらい遅れたか、というのを考える。だが、その中に奇妙な人影を感じ、それがだんだんと自分に近寄ってきていて……
これも、何が何だか系の話ではある。ただ、こちらが上に書いたような話と違うのは、それで犠牲者を出していること。最後のエピソードだけに、その嫌な後味というのが印象に残る。
まぁ、上に書いたように、それぞれの幕間の話はオマケ程度で読めばいいんじゃないかな、という風に思う。

No.4165

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