著者:佐藤青南


シーズンが開幕したばかりのプロ野球。その監督である榊が殺害された。容疑者として逮捕されたのは、前年の秋に戦力外とされた投手の宇土。高校時代、宇土のチームメイトであった新米弁護士・中垣は、宇土の弁護を依頼される。宇土の無罪を勝ち取るべく奔走する中垣の頭に去来するのは、高校3年の夏の出来事……
「法廷サスペンスと青春小説が融合する傑作ミステリー」とあるのだけど、融合というよりも、二本立て、という感じかなぁ? と。
物語は、殺人容疑で逮捕された宇土について調査をし、本当に彼が殺人を犯したのか? というのを探る現在パート。高校3年、2回~3回戦レベルだった普通の公立校に宇土がやってきて、甲子園を! という過去パートを繰り返す形で綴られる。物語の早いうちに、高校時代、甲子園を目指して戦う仲間だった中垣らと宇土が袂を分かつ描写があるわけで関係していくのだろう、とはわかるのだが、過去パートは本当に、普通の、というと何だけど、甲子園を目指すスポ根小説的な内容になっている。
殺人に使われた凶器はバット。それは、入団の際、監督の榊がプレゼントしたもの。そして、事件当時の午後11時ごろ、宇土と榊は会っており、しかも、半ば喧嘩分かれていること。そして、榊は、宇土は何があっても復帰させるつもりはないと主張していた、と言う辺りが怪しまれていた……
法廷でのやりとりとか、作品のリーダビリティとかは高いのだけど……なんか、終わってみると真相が弱いなぁ、という印象。逮捕した警察、それを送検した検察はかなり綱渡りの証拠で勝負しちゃっている。本当、状況証拠でしかないもの。検察官が、警察の不首尾などに厳しいとあるけど、これじゃ、全然厳しくない(苦笑) 宇土がかかえている秘密についても、それ自体はともかくとして、偶然、同じような秘密を持っている人が、っていうのは出来すぎ……ミステリ作品ではよくあることではあるのだけど。
この内容ならば、短編くらいでやったほうがテンポも良かったんじゃないかな? と感じた。
No.4166

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シーズンが開幕したばかりのプロ野球。その監督である榊が殺害された。容疑者として逮捕されたのは、前年の秋に戦力外とされた投手の宇土。高校時代、宇土のチームメイトであった新米弁護士・中垣は、宇土の弁護を依頼される。宇土の無罪を勝ち取るべく奔走する中垣の頭に去来するのは、高校3年の夏の出来事……
「法廷サスペンスと青春小説が融合する傑作ミステリー」とあるのだけど、融合というよりも、二本立て、という感じかなぁ? と。
物語は、殺人容疑で逮捕された宇土について調査をし、本当に彼が殺人を犯したのか? というのを探る現在パート。高校3年、2回~3回戦レベルだった普通の公立校に宇土がやってきて、甲子園を! という過去パートを繰り返す形で綴られる。物語の早いうちに、高校時代、甲子園を目指して戦う仲間だった中垣らと宇土が袂を分かつ描写があるわけで関係していくのだろう、とはわかるのだが、過去パートは本当に、普通の、というと何だけど、甲子園を目指すスポ根小説的な内容になっている。
殺人に使われた凶器はバット。それは、入団の際、監督の榊がプレゼントしたもの。そして、事件当時の午後11時ごろ、宇土と榊は会っており、しかも、半ば喧嘩分かれていること。そして、榊は、宇土は何があっても復帰させるつもりはないと主張していた、と言う辺りが怪しまれていた……
法廷でのやりとりとか、作品のリーダビリティとかは高いのだけど……なんか、終わってみると真相が弱いなぁ、という印象。逮捕した警察、それを送検した検察はかなり綱渡りの証拠で勝負しちゃっている。本当、状況証拠でしかないもの。検察官が、警察の不首尾などに厳しいとあるけど、これじゃ、全然厳しくない(苦笑) 宇土がかかえている秘密についても、それ自体はともかくとして、偶然、同じような秘密を持っている人が、っていうのは出来すぎ……ミステリ作品ではよくあることではあるのだけど。
この内容ならば、短編くらいでやったほうがテンポも良かったんじゃないかな? と感じた。
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