(書評)おはよう、愚か者。おやすみ、ボクの世界

著者:松村涼哉



あるSNSの書き込みが話題を集めている。一人の高校生・大村音彦が中学生を恐喝し、合計で3000万円もの金を奪った。そして、今晩、その中学生を半殺しにした。しかし、それは最悪の嘘。なぜなら、大村音彦は俺なのだから。最悪の事態を作ったのはエノキダハルトという中学生。追われる者、追う者が出会ったとき……
「衝撃シリーズ」なんて名前が付けられているんだ……
前作『ただ、それだけでよかったんです』と確かにテーマとか、そういうのは似ている。ただ、前作と違うのは、作中の時系列。前作は一人の少年が遺書を残して自殺した後、その真相を探って……という形だったのに対し、今回は、文字通り、目の前で事件が発生して、と現在進行形で物語が綴られていく。
突如として終われる側となった音彦。自分が中学生に暴力を働いたわけではないのは確か。音彦はやっていない。そう信じてくれる仲間もちゃんといる。しかし、それすら、最悪のタイミングで破壊されていく……。その背後には、一人の少女が……。一方、音彦をハメた側の少女・榎田陽人。音彦に脅迫されていた中学生達をまとめて、音彦をハメる行動を取るが、しかし、それすら裏の事情がある。どちらにも共通するそれは、一人の少女。
スクールカースト、とか言ってしまうと凄くザックリとした感じになってしまうのだけど、前作同様、この手の人間関係って「学校」という狭い、そして、極めて密度の高い人間関係があるからこそ成立するものなんだよな……。表面上、支配している者と、支配されている者。しかし、支配している者は、支配されている者がいるからこそその立場が成り立つ。そして、支配されている者が主導権を握ったら……
例えば、これが社会人とか、自分ですべて変えることができる立場なら成立しない。だって、引越しをするなり、会社を辞めるなり、その状況を打破する力を持っているから。しかし、子供には、自らその対応を術がない。学校と言う密室を与えられ、その中でもがくしかない。その中で……。物語の感想というよりも、そういう「子供だからこそ」の息苦しさ、そういうものを思わずにはいられなかった。
しかし、まぁ……この中心人物、ナチュラルクズよね(笑) でも、それでも見捨てられない、というあたりに、音彦もまた、「子供」という部分があるのだろうと思う。
多少、音彦&陽人がチート状態じゃない? と思う部分があるんだけど……それは気にしちゃいけないか。

No.4168

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