(書評)刑事と怪物 ヴィクトリア朝臓器奇譚

著者:佐野しなの



犯罪者の部位を移植されたこと二より、異能力を手にしてしまった存在・スナーク。19世紀ロンドンでは、そのスナークによって起こされる事件が問題になってしまった。スナーク対策班に配属された新米刑事・アッシュは、その第一歩として、ある人物とコンビを組むことを命じられる。捜査に非協力的なその相手・ジジは、自らの異能を明かさないスナークで……
異能がある、と言っても、それでバトルを繰り広げるのではなく、異能の正体は何なのか? どうやれば、その影響を排除できるのか? を考える形の連作ミステリ形式。
……なのだけど、これ、電撃文庫でやったほうが良かったんじゃないかな? 。序盤はとにかく、アッシュとジジの掛け合いが繰り広げられるのだけど、あまりに何も知らなさ過ぎるアッシュ。それをからかうジジという感じで、「青い」というよりも「幼い」感じがしてしまう。高校生とかならともかく、刑事とそのパートナーという感じのやり取りには思えなかった。
と、1編目ではイマイチと感じたのだけど、ノリになれてきた2編目以降は楽しく読むことが出来た。
400万ポンドもの財産が厳重な金庫から奪われた、という2編目。厳重な金庫をどう破ったのか? それはスナークの仕業?
スナークが誰なのか? どういう能力なのか? については多分、誰にでもすぐわかると思う。ただ、その動機。そして、そんなスナークを利用した存在の悪意。後味の悪い結末が良い締めになっている。
ある日、アッシュが突然に透明人間になってしまった4編目。透明になってしまったのはアッシュだけでなく、警察署の怪談なども。目の手術により、盲目だったそれを治してもらった、という犯人のスナークも発見。しかし、見たものを透明にしてしまう異能などないはず……
ありえないはずの能力。そして、科学の息吹が出始めた19世紀くらいの、合理的なものの考え方がそれを解明する、というまとめ方は舞台設定をしっかりと活かしていて良かった。
後半が良かっただけに、序盤の妙に幼いやり取りが勿体無く感じられた。

No.4174

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