(書評)人類最強の純愛

著者:西尾維新



人類最強の請負人・哀川潤。再びに忙しい日々を送る彼女の前に、圧倒的な殺意を発する青年が現れる。一度の戦いを経て、その青年は、彼女をある場所へ誘う。そこで彼女を待っていたのは?
「人類最強」シリーズ第2作。一応、連作短編ってことになるのかな? 一応、話は時系列的には繋がっているけど。
とりあえずいえるのは、正直、1作目の『初恋』がかなり微妙な感じだったのだけど、今回は大分持ち直した感じ。まあ、正直なところ、「純愛」云々が何なのかよくわからなかったけど(というか、そもそも、愛とかはあまり関係ないのかな? と思う)
まぁ、それぞれのエピソードの話をするよりも、この作品のテーマ、「最強とは何か?」的な部分が印象に残るかな。1編目、潤が連れて行かれたのは、前巻に出てきた宇宙服などを作ったマッドサイエンティスト。しかし、そこにいたのは、どう見ても5歳くらいの幼女。そして、彼女は、死を間近に迎えたその研究者が、自らの意識、記憶などを渡した存在……
ある意味では「最強」の設定と言える不老不死を達成した科学者。命だろうが何だろうが、物質としてみて、それを作って来た科学者が作り出した「命のある炎」。それをどう処理するか……。不完全な形で作ってしまった不老不死。そして、その命ある炎の余りにあっけない最期。そこに余韻を感じた。
一方、2編目の『求愛』は、舟が転覆し、気付いたら無人島に。しかも、それは異世界? そこで出会ったのは過去の潤。
「人類最強」がまだ人類最強でなかった頃の思い出。そのときと現在での考え方、見方の差異。現在の自分から見れば、細かいところを忘れた記憶に過ぎないけど、しかし、当時は……。そういう意味では、哀川潤の良い掘り下げといえそう。
そして、深海で消失した調査員を捜索することになる『純愛』。ここでも、奇妙な出来事は起きているのだけど、むしろ、この話は決して成功しているわけではない、というのがポイント。これを読んで、最後にある2つの『失敗』を読むと、ここでこれを入れてきたのは上手い構成である、というのを思わずにはいられない。
概して、哀川潤の掘り下げが上手くされた感。よくわからんことはあるが、世界観に入ることが出来た、っていうか、戻ってきたように思う(一応、「戯言シリーズ」のスピンオフだし)

No.4176

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